トップ > 調べる・学ぶ > M&A実務 > 会計コラム >経営上の意思決定についての手法 - 意思決定の難しさ

経営上の意思決定についての手法 - 意思決定の難しさ

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

こんにちは。ビズサプリの花房です。今年はもう梅雨が明けてしまったとかで、例年海の日の前後と思っていたのでちょっと拍子抜けですが、その分暑い夏が続くことで恩恵を受けるビジネスもあり、天気、さらに言えば地震も含めて自然は予測不能ですが、それでも企業は日々意思決定を行っています。

日本では3月決算会社が多く、その株主総会は6月に行われて、中でも集中日と言われる日が今年は先週6月28日でした。当日は今回注目されていた富士フイルムホールディングス、武田薬品工業、出光興産の株主総会も行われましたが、いずれも経営上の大きな意思決定を抱えています。

それらは、富士フイルムは米ゼロックスの買収、武田薬品工業はアイルランドの製薬大手であるシャイアーの買収、出光興産は昭和シェル石油との経営統合についてです。いずれも賛否両論の戦略であり、また相手のある交渉事のため、会社自身で必ずしも決められない経営課題であり、今後どのような展開になっていくのか、外部からでも予想がつきませんが、意思決定する立場の経営陣は本当に大変だと思います。

今回は、このような経営上の意思決定についての手法を考えてみたいと思います。

1.経営判断の原則

取締役、特に上場会社の取締役となると、その責任は重大です。会社法では、忠実義務や任務懈怠責任、善管注意義務等が定められています。特に意思決定ということになると、「経営判断の原則」と言われる考え方です。これは平たく言うと、ある意思決定が結果的に会社に損害をもたらしても、意思決定の経営判断が合理的であれば、結果責任を問わないとするものです。

意思決定の結果会社に損害が出た場合、全て意思決定時の取締役に責任があることになれば、取締役は委縮してしまって、必要な投資や大胆な事業計画を実行しなくなってしまい、結果的に会社の成長を妨げることになります。そこで、意思決定に際して、きちんと必要な情報収集をし、リスクを分析して、慎重に合理的な判断をしているのであれば、結果的に経営責任を問われることはないため、経営陣もリスクを取って挑戦できることになります。

NEXT STORY