ZOZO効果くっきり 次はLINE効果も「Zホールディングス」の第3四半期

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Zホールディングスの決算説明会資料より

ZOZO<3092>子会社化のプラス効果が早くも現れた。Zホールディングス<4689>の2020年3月期第3四半期(2019年10月-12月)の営業利益が11四半期ぶりに前年同期比30%超の増益となった。 

ZOZOの連結化(2019年11月)によって、販管費や人件費などの経費が増えたもののZOZO分の増収額が241億円(全体では328億円)に達したことから大幅な増益となった。 

この結果、2020年3月期通期では売上高1兆400億円(前年度比8.9%増)、営業利益1500億円(同6.7%増)の増収営業増益を予想する。ただ当期利益はスマホ決済サービスPayPayのキャンペーン費用などがかさみ、770億円(同2.1%減)から800億円(同1.7%増)の範囲にとどまる見込み。 

アスクルは収益が改善 

2020年3月期第3四半期は売上高が2754億円(前年同期比13.6%増)、営業利益が同478億円(同30.9%増)、四半期利益が269億円(同84.2%増)とZOZO効果がくっきりと現れた。 

2019年10月-12月の同四半期中、ZOZOが加わったのは11月、12月の2カ月間だけ。3カ月間フルに寄与する2020年1月-3月はさらに大きなプラス効果が見込め、M&Aによる事業拡大が一層鮮明になる。 

2020年3月期第3四半期累計(2019年4月-12月)のコマース事業の営業利益の内訳を見ると2カ月分のZOZOが42億円と全体の15.3%を占め、144億円を計上したヤフーに次ぐ稼ぎ手になった。 

2カ月分の営業利益を単純に4.5倍し9カ月分にすると189億円となり、2021年3月期のコマース事業ではヤフーを上回り、稼ぎ頭に躍り出る可能性もある。 

このほかコマース事業では、2019年8月に当時の社長や独立社外取締役らの選任を巡って紛糾したアスクル<2678>の収益が改善し、15億円の営業利益を計上した。 

また、PayPayに関しては積極的な投資によって、156億円の持分法投資損失を計上したが、こうした投資により、PayPayの加盟店数は2020年1月末で約191万カ所を突破し、登録者数も増加し、同年2月2日に2400万人を突破した。

Zホールディングスは2020年10月にコミュニケーションアプリのLINEとの経営統合を計画しており、M&Aによる事業拡大はさらに続きそうだ。

文:M&A Online編集部