2022年、最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?

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写真はイメージです(東京・大手町のビジネス街)

全国で3900社近くを数える上場企業のうち、2022年に最も多くのM&Aを手がけたところはどこか? M&A Onlineが適時開示情報をもとに調べてみた。

ヨシムラ・フードとケア21が各6件

M&A Onlineの集計によると、2022年のM&A件数は前年同月比72件増の949件(買収側、売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)で、2021年に記録したリーマンショック(2008年)後の最多877件を大きく更新した。ロシアのウクライナ侵攻、記録的な円安進行で一進一退する局面があったものの、アフターコロナを見据え、経済活動が正常化に向かう中、夏場以降、月を追って件数を積み増す展開となった。

2022年を通じて、1社で複数(2件以上)のM&Aに取り組んだ企業は161社あった。このうち件数トップはヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>とケア21<2373>の各6件で、両社ともすべて買収案件だった。

ヨシムラ・フードは中小食品会社を次々に傘下に収め、その数は20社を超える。食品業界に特化する形で後継者難や単独での成長に限界がある中小のM&Aを繰り返し、グループ全体で相互補完・相互成長するビジネスモデルを作り上げている。

6件中、最も買収金額が大きかったのは21億6800万円を投じて、ホタテなど水産品製造加工のマルキチ(北海道網走市)の株式70%を取得して子会社化する案件。2022年はこのほかに、削り節製造の林久右衛門商店(福岡市)、生ラーメン製造の丸太太兵衛小林製麺(札幌市)、栗菓子製造の小田喜商店(茨城県笠間市)などを子会社化した。

一方、ケア21は関西を地盤とし、専門スタッフによる訪問介護事業や有料老人ホーム、グループホームなどの施設介護事業を主力とする。2022年に手がけた6件の買収はいずれも訪問介護事業に関連し、エリアは東京都3件、埼玉県、大阪府、兵庫県各1件だった。

年間5件はSBI、じげんなど8社

次点の年間5件はSBIホールディングス、SYSホールディングス、エフ・コード、エルテス、じげん、日本創発グループ、ピアズ、ベクトルの8社。これに続く年間4件は7社あり、Jトラスト、アイドマ・ホールディングス、グリーンクロス、ジャパンエレベーターサービスホールディングス、小僧寿し、デジタルプラス、電通グループ。

過去3年の年間トップの顔ぶれをみると、2021年はアウトソーシング9件、2020年はココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)8件、2019年はソフィアホールディングス11件だった。

◎2022年M&A件数:上場企業別ランキング(適時開示ベース、HDはホールディングスの略)

6件 ヨシムラ・フード・HD、ケア21
5件 SBIホールディングス、SYSホールディングス、エフ・コード、エルテス、じげん、日本創発グループ、ピアズ、ベクトル
4件 Jトラスト、アイドマ・HD、グリーンクロス、ジャパンエレベーターサービスHD、小僧寿し、デジタルプラス、電通グループ
3件 エイチ・アイ・エス、トヨタ紡織、ノジマなど26社
2件 118社

文:M&A Online編集部