M&Aはなぜ増えているのでしょうか?

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「M&Aはなぜ増えているのでしょうか?わかりやすく教えて下さい」

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略で、「企業の合併・買収」のことです。簡単にいえば、「経営権の移動を伴う経済行為」です。

日本企業が関係するM&Aは増加の一途をたどっています。M&Aが増加する背景には、少子高齢化の問題、産業構造の変化、企業のグローバル化などがあげられますが、これらのM&Aを後押しするのが、M&Aに関する法制度の整備です。

法制度の整備がM&Aを後押ししている

1997年に独占禁止法が改正され、純粋持ち株会社(ホールディングカンパニー)が解禁されたのを皮切りに、買収の対価を現金ではなく自社株で支払う「株式交換制度」の創設、企業グループでの決算内容を明らかにする「連結決算制度」の導入、再生型M&Aをスムーズに行うための「民事再生法」の施行と、いずれもM&Aを加速する方向で法制度が整備されてきました。

2006年には会社法が施行され、これまでは合併の対価として存続会社の株式しか使えなかったものを、現金や親会社の株式でも良いと認めたり、株主総会決議が不要なM&Aの範囲を拡大したりしました。

M&Aが行いやすくなる一方で、「黄金株」や「全部取得条項付種類株式」を用いた買収防衛策など、M&Aを防ぐ施策も導入しやすくなっています。

買収防衛策と聞くと大企業をイメージしますが、中小企業の事業承継にも活用できます。例えば最近何かと話題の「お家騒動(相続争い)」ですが、オーナー一族による相続争いのリスクを避けるために活用することもあるのです。

主なM&Aの法制度改正

法制度 内容
1997年 独占禁止法の改正 戦後、禁じられていた純粋持ち株会社の設立が解禁され、グループ内の分割・統合などが容易になる
1999年 株式交換・株式移転制度の創設 企業買収の対価を現金ではなく、自社株式で払うことができるようになる
2000年 連結決算制度の導入 2000年3月期より上場企業で義務化され、企業グループ単位での決算が主体となる
同年 民事再生法の施行 従来より早い段階で再生の手続きに着手でき、再生型M&Aにとって使い勝手がよくなる
2001年 会社分割制度の創設、組織再編税制の導入 事業単位で包括的に切り離すことができるようになる。包括的な税制ルールが導入される
2006年 会社法の施行 合併の対価に現金や親会社株式を使うことが認められる(合併対価の柔軟化)、株主総会の承認(決議)が不要となる範囲が拡大される
2007年 三角合併の解禁 合併の対価として親会社の株式で払うことができるようになる
2008年 事業承継税制の創設 相続税と贈与税の納税が猶予されたり免除になる
2021年 株式交付制度の創設 買収対価として自社株式を用いることができる

文:M&A Online編集部