次期「iOS 15」が5年前に発売した「SE」に対応する理由

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米アップルが2021年6月8日に発表した、今年秋の「iPhone13(仮称)」などに搭載する新OS「iOS 15」が話題になっている。同OSではビデオ電話アプリ「FaceTime」の強化などが盛り込まれるが、今回注目されているのは機能よりも旧機種への対応だ。

「予想外」だった新OS対応

iOS 15には「対応しない」とみられていた「iPhone 6S」と第1世代の「iPhone SE」でも使えることが明らかになった。6Sは2015年9月、SEは2016年3月の発売。次々期OS「iOS 16」の投入は2022年秋となるため、少なくとも6Sは7年、SEは6年半にわたって最新のOSが利用できることになる。

両モデルとも、発売当時に搭載されていたOSは「iOS 9」。実に7世代のOSが利用できることになる。過去最長だったのは2013年9月の「iOS 7」から2018年9月の「iOS 12」まで6世代のOSが利用できた「iPhone 5S」で、3年ぶりの記録更新となる。

実は昨年発表された「iOS 14」でも、6SとSEが非対応になるのではないかと予想されていた。それが予想外の対応となり、さらには次期OSのiOS 15も使えることに。

最新のiOSが対応した理由は、6SよりもSEにあるだろう。SEは5Sのボディーに2世代後の6Sの機能を実装した端末。143gの6Sよりも一回り小型で、重量は113gと現行機種の「iPhone 12」よりも50g近く軽い。

価格は当時の主力機種だった6Sのおよそ半額の4万4800円からと低価格だったこともあり、旧型機の中身を入れ替えただけの傍流機種にもかかわらずヒット商品に。低価格端末が主流の新興国では、アップルのシェアを引き上げるのに一役買った。

アップルとしては新興国市場のユーザーが多いSEを、新iOSの対応から外すことを避けたかった可能性が高い。iOS 15の目玉機能となるAndroid端末との通話やビデオ会議機能の強化などを実装した「FaceTime」がアップデートできないとなると、競争が激しいビデオ電話アプリ市場で後れをとることにもなりかねないからだ。

iOS 15では「FaceTime」の機能強化が目玉となる(アップルホームページより)

アップルが小型モデルとして2020年に投入した「iPhone 12 Mini」はヒットに恵まれず、現時点でも第1世代のSEは現行iOSが動く最小最軽量モデルとして根強い人気がある。第1世代のSEが「御役御免」となるのは、もう少し先になりそうだ。

文:M&A Online編集部