「やはり学歴フィルターは存在したのか?」就職情報大手の「マイナビ」が学生向けに送信したメールタイトルに「大東亜以下」と記載していたことから、ネット上では「あからさまな学歴差別ではないか」と非難の声があがっている。
マイナビは学生を「大東亜以下」と「それ以外の大学」の2グループに分けていたことは事実であると認めたが、「学生の人数がちょうど半分になるからで、提供するサービス内容は変わらない」と弁明した。とはいえ、単に人数を分けるだけならば、地域別でも大学名の50音順でもいいはず。偏差値で区切る必要はない。
そうした苦しい弁明はさておき、「大東亜」とは何か?これは関東地区における私立大学の偏差値によるランキングで、一般には「大東亜帝国」と呼ばれている。それぞれ大学名の頭文字で、大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学の5校を指す。
序列でその上位に来るのが「日東駒専」だ。これも大学名の頭文字で日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学の4校。さらにその上が「MARCH」で明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の5校。その上が関東私学では最上位となる「早慶上智」、早稲田大学、慶応大学、上智大学の3校だ。
「大東亜帝国」の下位には「関東上流江戸桜」(関東学園大学、上武大学、流通経済大学、江戸川大学、桜美林大学)などのランキングもあるが、上位のランキングほどには定着していない。
さらにその下位には「Fランク大学」と呼ばれる序列もある。これは「ボーダー・フリー(BF)の大学」の略称で、定員割れや不合格者数が少なすぎて(ほとんど全員が合格するため)合格偏差値を算出できないレベルの大学を指す。
その他の大学は偏差値に応じて、いずれかのランキングに組み込まれている。たとえば「大東亜帝国」には國學院大学、「日東駒専」には東京経済大学や成城大学、成蹊大学、神奈川大学、「MARCH」には学習院大学、「早慶上智」には国際基督教大学(ICU)などが、それぞれ含まれることもある。
関西の私立大学でも「関関同立」(関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学)を最上位とする同様のランキングが存在する。
一方、国立大学は旧帝国大学(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)や一橋大学などを頂点に、東京工業大学や旧高等師範学校(筑波大学、広島大学)などが続く独自のランキングが存在する。しかし、地方企業では遠隔地にある旧帝大出身者よりも、地元国立大学出身者が就職で有利なケースも多い。全国的な偏差値によるランキングに左右されず、地元大学志向が強い傾向があるようだ。
一般に大学のランキングでは国公立私立を問わず歴史が古い大学ほど高い傾向にあるが、秋田県の国際教養大学(2004年設立)のように新設校ながら旧帝国大学の大阪大学より高ランクの大学も存在する。
「大東亜帝国」とされる國學院大学や東海大学医学部のように同一ランキングでも偏差値が大きく異なり、大学や学部によっては上位の大学を超えるケースも珍しくない。「大東亜帝国」のようなランキングは「このあたりだろう」との主観的要素が大きい上に「不動」のものではないので、ランキングによる安易な判断は禁物だ。
文:M&A Online編集部