神戸市と仙台市の「アンパンマンこどもミュージアム&モール」内に設置された点字ブロックの一部がアンパンマンの顔になっている問題で、運営側が通常のブロックに交換すると発表した。視覚障害者から「子供がアンパンマンブロックを見てしゃがみ込んだりすると危ない」と指摘されていたという。対応が後手に回った運営会社とは、どんな会社なのか?
実は同ミュージアムの運営会社はテレビ局の子会社だ。横浜市に本社を置くACM (Anpanman Children's Museum)で、日本テレビホールディングス<9404>傘下にある日本テレビ放送網(東京都港区)の子会社。官報によると、2021年3月期に純損益が2億8100万円の赤字となり、2021年8月には資本金を8000万円から5000万円に減資している。2022年3月期の売上高は28億2800万円だった。
ネットニュースからの今後の対応についての質問に対して、同社は「お答えしかねます」とのゼロ回答で押し切ろうとした。その結果、ネット上でいわゆる「炎上」状態となったのを受けて、アンパンマンブロックの交換を発表したようだ。
テレビ局の子会社が「お答えしかねます」と事実上の取材拒否をしたことが、「炎上」騒ぎを招いたようだ。ただ、点字ブロックの一部をアンパンマン仕様にした経緯などについては「担当者が不在のため、詳細な記録がございません」と回答を避けた。企業の危機管理としては失敗と見られている。
ACM は2006年8月にアンパンマン関連商品を取り扱う企業(ライセンサーとライセンシーによる21社)が「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」立ち上げに向けてLLP(有限責任事業組合)を組成。翌2007年4月に1号店として「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」を開設した。
その後、名古屋や仙台、神戸、福岡でLLPを組成し、「アンパンマンこどもミュージアム&モール」をオープン。現在、5カ所の施設を運営している。
LLPは「リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ (Limited Liability Partnership)」の略で、事業を目的とする組合契約を基礎に形成された組合。パートナー企業の責任が限定されているのが特徴で、出資額以上の責任を負わない。
全国にアンパンマン関連のミュージアムは6カ所あるが、原作者やなせたかし氏の故郷にある「香美市立やなせたかし記念館」(高知県香美市)だけは公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団による運営で、ACMとは関係ない。
ただし、なぜかACMのホームページでは注記で「香美私立やなせたかし記念館」と誤変換のまま表示されている。
文:M&A Online編集部