KDDI<9433>が運営するauなどの移動体通信サービスの大規模な通信障害が、7月4日午後4時時点でほぼ解消した。トラブル発生から63時間経過しており、auのほか別ブランドのUQモバイル、povoなど最大3915万回線に影響が出たという。
中でも深刻だったのが音声通話による緊急コール。大津市の登山道で転倒した登山者がau携帯電話で救助を求めようとしたが、通信障害でつながらず偶然通りかかった登山者が他キャリア(通信事業者)の携帯電話で緊急通報し、防災ヘリコプターで救助された。沖縄県では台風接近に伴い、119番などの緊急通報は固定電話を利用するよう呼びかけている。
これはNTTドコモやソフトバンク、楽天モバイルなどの他キャリアを利用しているユーザーにとっても決して他人事ではない。事実、2021年10月にはドコモが29時間にわたってauと同様の大規模通信障害を引き起こしデータ通信・音声通信の両方で、延べ1290万人が影響を受けている。
携帯各社は音声通信を従来の音声専用の回線交換方式からデータ併用のVoLTE方式へ移行している。大口契約を結んでいるライフラインや法人需要は大半がIoT(モノのインターネット)向けのデータ通信のため、音声通信の復旧は「後回し」にされる可能性がある。音声通信が復旧しない場合、個人ユーザーはどうすればよいのだろうか?
手っ取り早いのはスマートフォン(スマホ)でメッセージアプリの音声通信機能を利用することだ。最も利用されている「LINE」の場合は「トーク」タブを押し、連絡を取りたい相手を選ぶ。右上の受話器マークをクリックすると「音声通話」と「ビデオ通話」が表示されるので、どちらかをクリックすれば通話が可能だ。
スマホのデータ通信も復旧していない場合でも、公衆無線Wi-Fiに接続すれば利用できる。企業や家庭の固定電話にかける場合は「LINE Out」を使うといい。「Skype Out」や「050plus」「LaLa Call」などのIP電話アプリを利用してもよい。
音声通話もデータ通信もダメ、近くにアクセス可能な公衆無線Wi-Fiもないという場合は公衆電話を探すしかない。スマホアプリの「goo防災マップ」で最寄りの公衆電話を把握しておくとよいだろう。いざという時にデータ通信が不通だと検索できないので、立寄り先周辺の地図をキャプチャ(保存)しておくと安心だ。
パソコンならNTT東日本とNTT西日本が公衆電話地図を公表しているので、必要な地域を印刷して持ち歩くという手もある。
近くに公衆電話がない、あっても公衆電話に並ぶのがイヤだというのであれば、究極の選択として衛星携帯電話を利用しよう。現在、日本ではインマルサットのIsatPhoneやイリジウム、スラーヤなどが利用でき、月額料金も5000円程度だ。空さえ見えれば、どこからでも音声通話ができる。「絶対に連絡が取れないと困る」という人にはおすすめだ。
ただし、IP電話や衛星携帯電話では「119番」や「110番」などの緊急通報がつながらないケースもある。その場合は市外局番から始まる消防署や警察署の電話番号にかければよい。ちなみに東京・大手町を管轄する丸の内消防署の電話番号は03-3215-0119だ。自宅や職場、実家などの最寄りの消防署や警察署の電話番号は、控えておいて損はない。
文:M&A Online編集部