急成長著しい「ウェルネス・コミュニケーションズ」の非連続成長も含めたさらなる事業拡大

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松田泰秀ウェルネス・コミュニケーションズ代表取締役社長

健康管理SaaS*¹「Growbase(グロウベース)」事業を手がけるウェルネス・コミュニケーションズ(東京都港区)は、投資ファンドのロングリーチグループ(香港を拠点とするロングリーチグループ・リミテッドや、東京を拠点するロングリーチグループから成る投資ファンド)の関連会社であるLHP Holdings, L.P.(東京都千代田区)からの出資を受け入れ、非連続成長も含めたさらなる事業拡大に乗り出した。

ファンドの知見を活かしたM&Aによって事業領域を拡げるとともに、同社自体のIPO(新規株式公開)も目指すという。事業の立ち上げ時から同社にかかわってきた松田泰秀代表取締役社長にビジョンをお聞きした。

(*¹SsaS:インターネットを介して必要な機能を必要な分だけ利用できるソフトウエア)

M&Aを担当する部署を設置

―ロングリーチグループの出資を受け入れられたのはなぜなのでしょうか。

資本政策については、ここ数カ月間いろんな議論を行ってきた。その結果、事業を急速に拡大するにはロングリーチグループが持つ情報やノウハウが必要との結論に至った。自力で一つひとつ新しい事業に取り組んでいたのでは時間がかかり過ぎる。M&Aによって時間を短縮して成長を加速したい。ただ、ヘルスケア分野は売り手が非常に少なく、対象企業を見つけるのが難しい。そこでロングリーチグループのサポートを期待している。

-具体的にはどのような連携を計画しているのですか。

近くM&Aを行う部署を作ることも検討しており、ロングリーチグループとの連携の一つとして、例えばこの部署に人を派遣してもらうなどの検討を進めていきたい。当面は、企業の人的資本や健康管理を支援するソフト・サービスを提供していたり、医療機関のバックオフィス業務にソフト・サービスを提供していたりするような、当社の「Growbase」の機能をさらに拡張できるサービスを展開されている企業のM&Aを考えていきたい。将来は、健康管理にかかわりが深いスポーツクラブやリラクゼーション、飲食などの分野の企業もグループに取り込みたい。さらにもっと先には海外企業も対象にしていきたい。健康作りを支援する企業グループとして国内だけでなく、海外でも活動する企業像を描いている。

-今回はほかにベルシステム24ホールディングスと伊藤忠テクノソリューションズの2社からの出資も受けられました。

ウェルネス・コミュニケーションズは伊藤忠商事の社内ベンチャーからスタートした会社で、新たに出資していただいた企業も伊藤忠グループの企業。これまでも当社のパートナー企業として事業で協業実績があり、出資をしていただくことで、一層関係を強化する方針だ。

中堅、中小企業向けも強化

-IPOについてはどのような計画をお持ちですか。

いつということは言えないが、いずれIPOを行いたいと考えている。ロングリーチグループからは中長期に株式を保有するとの話をいただいており、ガバナンス体制の整備や強化などの面からもIPOやIPO後の成長を支援していただけるだろう。

-「Growbase」は大企業を中心に1500社以上が利用していると聞きます。 事業の今後についてどのような見通しをお持ちですか。

大企業へのアプローチは今後も一層強化していく。 人的資本経営が求められる中、コーポレートウェルネスでも「Growbase」を通じた支援サービスとの連携を強化し、大企業のニーズに応えていくつもりだ。 さらに今年1月にプロダクトブランドシリーズとして、中堅・中小企業向けの「GrowbaseNEXT」を投入した。 大企業向けの「Growbase」の機能を絞り込み、組織別、従業員別の健康情報の可視化や集計機能のほか、労基報告書作成やストレスチェックなどの法令対応機能を持たせた。 健康管理の専任スタッフがいなくても簡単に操作ができるシステムである。 現在、テストで使用してもらっており、近く本格展開する。

ウェルネス・コミュニケーションズ
松田泰秀ウェルネス・コミュニケーションズ代表取締役社長

【松田泰秀氏】
1998年、伊藤忠商事に入社。 2003年に社内ベンチャー制度下で、ネットを活用した健康管理システム「ヘルスサポートシステム(現Growbase)」を企画開発し、2006年にウェルネス・コミュニケーションズを創業。 2016年に代表取締役に就任。

文:M&A Online