格差広がるドラッグストアの「ウエルシア」と「ツルハ」要因は買収か

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東京・大手町のウエルシアの店舗

ドラッグストア業界でトップと2位の格差が拡がってきた。最大手のウエルシアホールディングス<3141>が順調に業績を伸ばしているのに対し、二番手につけるツルハホールディングス<3391>が2022年5月期に売り上げがマイナスに転じたのに加え、2023年5月期も伸び率はウエルシアを下回る見通しだ。両社の勢いの差はどこにあるのか。詳細を見てみると。

M&Aによる店舗増加数の差は300店強

ウエルシアは2023年2月期の売上高が11.5%の増収となり、一気に1183億円(売上高は1兆1442億7800万円)ほどを積み上げた。一方のツルハの2023年5月期の業績予想は、売上高は5.8%の増収で、531億円(同9688億円)の増額に留まる見通しだ。

両社ともに同業者との競争が激化する中、調剤併設店の増加や薬局機能の強化などに取り組み、増収を実現しているが、伸び率に差がついた要因として店舗網の拡大とM&Aを上げることができる。

【ウエルシアホールディングスの売上高と営業利益の増減率】

【ツルハホールディングスの売上高と営業利益の増減率】2023年5月期は予想

ウエルシアは2023年2月期に140店を新規に出店し36店を閉店しており、純増は104店となった。ツルハは2023年5月期第3四半期までに111店を新規に出店し63店を閉店しており、純増は48店に留まった。

さらにM&Aでは、ウエルシアは2022年に、沖縄県内で25店舗のドラッグストア運営するふく薬品(那覇市、売上高69億7000万円)と、大阪で162 店舗のドラッグストアを展開するコクミン(大阪市、売上高398億円)と、その兄弟会社であるドラッグストア3店舗を運営するフレンチ(同、売上高3億6700万円)の3社を子会社化した。

これに対し、ツルハは2023年5月期第3四半期時点では、M&Aは1店舗の事業譲受に留まっている。これ以前のM&Aは2021年に調剤薬局経営のたかきファーマシー(鳥取県米子市)から1店舗を取得した案件で、この2年ほどでM&Aによる店舗増加数は2店舗のみとなっている。

ウエルシア2021年に中国・四国地方でドラッグストア123店舗を展開するププレひまわり(広島県福山市、売上高516億円)を子会社化しており、この2年間のM&Aによる店舗増加数は313店舗に達する。

ウエルシアの2023年2月期の国内店舗数は2751店、ツルハの2023年5月期第3四半期時点の国内店舗数は2571店。その差は180店のため、M&Aによる影響の大きさが分かる。

このまま格差は広がり続けるのか、それとも反転して縮まるのか。M&Aが左右する可能性は低くはなさそうだ。

ウエルシアホールディングスの業績推移
ツルハホールディングスの業績推移

文:M&A Online編集部