コロナ禍で急増した「早期・希望退職」募集が減少に転じたことが分かった。経営に大きなダメージを受けた業界での募集が一巡したためで、外食や鉄道・航空、観光などでの減少が目立つ。
2023年はコロナ禍による人員削減には一服感が出ているものの、3月以降にコロナ融資(実質無利子、無担保融資)の返済が本格化するため、早期・希望退職の募集が再び増加に転じる可能性もある。
資金に余裕のない中小企業による「あきらめ倒産」の増加も見込まれており、先行きの見通しは不透明だ。
東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると、2022年の上場企業の早期・希望退職は38社で、前年の84社から46社減少し、コロナ禍前の2019年(35社)とほぼ同水準となった。30社台は3年ぶり。
募集人数は、人数を公表した31社の合計5780人で、前年の1万5892人からは63.6%の大幅減となった。募集人数が1万人を切ったのは、2018年(4126人)以来、4年ぶりという。
業種別に見ると、前年に4社だった外食はゼロとなり、百貨店やホテルなどの事業にも取り組んでいる鉄道・航空が前年の5社から2社に、観光も前年の4社から2社に減少した。
最も募集企業が多かったのは機械の5社で、このほかに電気機器の4社、医薬品の3社など、コロナ前に募集の多かった業種が上位に入った。
前年に5社あった1000人以上の大型募集は1社に減少し、100人未満の募集が21社と全体の半数を占め、募集の規模が小型していることも分かった。コロナ融資の返済が本格化する3月以降の動向が注目されるところだ。
文:M&A Online編集部