2020年の希望退職募集、90社を突破|「1000人規模」LIXILなど3社

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1200人規模の希望退職プログラムを実施中…LIXIL本社(東京都江東区)

「新型コロナ」下、上場企業でも雇用情勢は厳しさを増すばかりだ。2020年に希望(早期)退職者の募集を発表した企業は少なくとも93社(M&A Online編集部調べ)に上り、前年の2.6倍に急拡大した。募集人員は実施済みと計画中を合わせ1万7000人を超える。新年早々に緊急事態宣言が再び発出されるなどコロナ危機が深刻化する中、人員合理化の流れがさらに加速するおそれがある。 

「100人」を超える募集が50社に

2020年を振り返ると、希望退職の発表は1~6月で36社となり、半期段階で2019年の年間件数に並んだ。下期以降はペースがさらに上がり、ピークの11月は月間16社を数えた。最終的に93社となったが、年間2度の募集を発表したところが4社(曙ブレーキ工業、シチズン時計、ラオックス、ぱど)あり、これを加味すれば延べ社数では97社と100社に迫った。

全93社中、募集人数が100人程度ないし、これを超えるのは半数以上にあたる50社(人数を定めず募集したものの応募が100人を超えた場合を含む)。募集200人以上だと、29社あった(一覧表)。LIXIL、日立金属、レオパレス21の3社は募集規模が1000人を超えた。

LIXILは2020年10月末に、「ニューライフ」と名づけた希望退職プログラムの実施を発表したのを受け、年明けの1月12日から1200人程度を募集中(~22日)。同社として希望退職は2年連続(前回は497人応募)。国内の新築住宅市場が縮小する中、実力主義を徹底し、事業構造転換につなげる狙いという。

賃貸アパート事業を巡る施工不良問題で業績が悪化したレオパレス21は非中核部門のホテル・リゾート、国際事業からの撤退に合わせて1000人規模の希望退職を募った。同社では希望退職で決算業務に従事する社員が想定以上に退職したことを理由に、決算発表日程を延期する一幕もあった。

オリンパスは社外転進支援制度の実施(2020年12月に計画発表)に伴い、2月に950人程度の早期退職を募る。同社はミラーレス一眼を中心とするデジタルカメラ、交換レンズをはじめとする映像事業を売却するなど事業構造改革に進めており、その一環と位置づける。

コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは900人程度、セガサミーホールディングスは650人程度で昨年末までに実施したが、応募結果については現時点で開示していない。

実際の募集規模は2万人規模に

2020年の募集人数を単純に合計すると約1万7400人に上り、約8000人だった前年の倍を優に上回る。ただ、カシオ計算機、藤田観光、三菱ケミカルホールディングス(三菱ケミカルで募集)、KNT-CTホールディングス(傘下の近畿日本ツーリストなどで募集)、マクセルホールディングス(309人が応募)、メディパルホールディングス(560人が応募)、武田薬品工業などのように人数を定めず募集する大手企業もあることから、これらを含めれば、実際には2万人規模に達するとみられる。

◎2020年に200人以上の希望(早期)退職の実施を発表した企業

企業名 募集人数 応募人数
1 LIXIL 1200 実施中
2 日立金属 1030 実施中
3 レオパレス21 1000 1067
4 オリンパス 950 2月募集
5 コカ・コーラボトラーズジャパンHD 900 実施済
6 東芝(東芝デバイス&ストレージ) 770
7 セガサミーホールディングス 650 実施済
8 三菱自動車 500~600 654
9 シチズン時計(シチズン時計マニュファクチャリング) 550 632
10 ミツバ 500 549
11 メディパルホールディングス 定めず 560
12 東芝テック 700 465
13 ラオックス 250160 114111
14 青山商事 400 実施中
15 曙ブレーキ工業 200180 154?
16 レナウン 300 約180
17 河西工業 300 175
18 TSIホールディングス 300 募集中
19 NOK 300 実施済
20 スタンレー電気 300 実施済
21 芝浦機械 200~300 252
22 タチエス 250 232
23 NISSHA 250 268
24 廣済堂 240 230
25 ユニバンス 200 130
26 ペッパーフードサービス 200 204
27 ワールド 200 294
28 ロイヤルホールディングス 200 315
29 タムロン 200 204

文:M&A Online編集部