上場企業による希望退職者募集の動きが2022年も年初から広がっている。1月中に計画を発表したのは250人を募集する遊技機メーカー大手の平和など4社。1月(2020年5社、21年7社)として過去3年で最も少ないが、コロナ禍の出口が見通せない中、予断は許されない状況にある。
上場企業の希望退職者募集はコロナ1年目の2020年に少なくとも93社(計画発表ベース、M&A Online調べ)を数え、前の年の2.6倍に急増した。続く2021年は4割以上減ったものの、それでも年間50社を超えた。
1月に希望退職者募集を発表した4社のうち、人数が最も多かったのが平和。パチンコ、パチスロの遊技機事業にかかわる本体と子会社(オリンピア、アムテックス)に在籍する40歳以上59歳以下の正社員を対象に、1月18日~2月18日に250人を募る。募集人数は遊技機事業の従業員881人(2021年12月末)の3割近くに上る。
平和は「総合レジャー企業」を標ぼうし、遊技機事業とゴルフ事業を経営の両輪とする。このうち遊技機事業はコロナ禍で市場縮小が加速しているうえ、世界的な半導体不足などで十分な台数の遊技機を供給できない見込みとなり、業績を下押ししている。営業所・出張所を統廃合し、人員の適正化と組織の若返りを進めるという。
一方、ゴルフ事業は子会社のパシフィックゴルフマネージメント(PGM、東京都台東区)が展開し、全国140を超えるゴルフ場を保有し、積極的な買収戦略で知られる。
紙袋・レジ袋大手のスーパーバッグは40人程度の希望退職者を50歳以上59歳以下の正社員らを対象に募集中(1月24日~2月4日)。レジ袋の有料化による需要低下に加え、紙袋も落ち込んでいる。2022年3月期は営業損益、最終損益とも2期連続の赤字を見込む。
昭文社ホールディングスは41歳以上の正社員を対象に2月1日から募集を始めた。出版不況に加え、コロナ禍による観光需要の減少で地図出版物、ガイドブックなどの主力事業が厳しい状況に陥っている。拠点の移転・集約、ボーナスの支給取りやめ・減額などの施策を講じてきたが、早期の業績回復には人員体制の見直しが不可欠だと判断した。募集人数は非公表。
このほか、三菱電機系のエレクトロニクス商社の協栄産業は30人程度を募る。52歳以上59歳以下の正社員を対象とする。
◎直近3カ月(2021年11月~22年1月):希望退職者の募集を発表した上場企業
企業名 | 募集人数(期間)募集結果など | |
1月 | 平和 | 250人(1月18日~2月18日) |
〃 | 協栄産業 | 30人程度(2月7日~28日) |
〃 | スーパーバッグ | 40人程度(1月24日~2月4日) |
〃 | 昭文社ホールディングス | 非公表(2月1日~18日) |
12月 | 三菱製紙 | 60人(6月1日~13日) |
〃 | 加藤製作所 | 100人程度(1月24日~2月18日) |
〃 | シャルレ | 定めず(12月20日~1月12日)→3人応募 |
〃 | ダイドーリミテッド | 20人程度(2月28日~3月11日) |
〃 | 博報堂DYホールディングス | 100人程度(12月6日~2022年1月14日) |
〃 | サンデンホールディングス | 未定(12月初め~末日)→196人応募 |
11月 | フジ・メディア・ホールディングス | 未定(1月5日~2月10日) |
〃 | 常磐開発 | 50人程度(1月1日~31日) |
〃 | 山喜 | 40人程度(12月13日~24日)→34人応募 |
文:M&A Online編集部