焼き鳥居酒屋・備長扇屋など運営の「ヴィア」が不採算店62店を閉鎖 復活のシナリオは?

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焼き鳥居酒屋「備長扇屋」や炭火串焼き専門店「日本橋紅とん」などを展開するヴィア・ホールディングス(HD)<7918>は、グループ店舗の約15%に当たる62店の不採算店舗を閉鎖する。 

これに伴って同社は2020年3月期に特別損失約6億円を追加計上することから、同期の当期損益は15億円の赤字に陥る。当期赤字は2018年3月期の22億6600万円、2019年3月期の28億4100万円に続く3期連続だ。 

苦境にあえぐ同社では、どのような復活のシナリオを描いているのか。中期経営計画を見るとその答えが垣間見えてくる。 

中期経営計画を見直し

ヴィア・HDは2020年3月18日に業績の下方修正を発表。新型コロナウイルスの影響で宴会のキャンセルなどが相次いだことから、2020年3月期の売上高を11億円少ない245億円に引き下げた。これに伴い営業損益は5000万円の黒字から5億円の赤字に、経常損益もゼロから5億5000万円の赤字に転落する。 

当期損益はもともと2億6000万円の赤字予想だったが、売り上げの減少と特別損失の追加計上で、10億円を超える大幅な赤字を余儀なくされた。

【ヴィア・ホールディングスの業績推移】単位:億円 

  2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期
売上高 303.51 295.86 283.4 267.78 245
営業損益 8.15 7.47 0.94 △6.85 △5
経常損益 5.48 6.66 0.18 △8.12 △5.5
当期損益 2.72 2.46 △22.66 △28.41 △15

閉鎖店舗62店舗のうちすでに第3四半期(2019年4月1日-2019年12月31日)までに22店舗(直営店)を実施済みで、第3四半期末の店舗数はフランチャイズ61店舗を含め477店舗まで減少している。 

同社は2022年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画に取り組んでおり、最終年度に売上高280億円、営業利益8億4000万円の数値目標を掲げている。しかし、これら数字については今回の業績修正に伴い見直しの検討を進めており、新たな計画が決定次第公表するとしている。

M&Aで成長軌道に乗れるか 

その中期経営計画で同社が打ち出しているのがM&Aとアライアンス(提携)。2020年3月期、2021年3月期はアライアンスを中心に取り組み、2022年3月期は「より大きな成長を目指す」とし、M&Aの実施を匂わせている。 

同社は2004年に扇屋コーポレーションと、エンゼルフードシステムズ(現・フードリーム)の株式を取得したのをはじめ、2005年にウィルコーポレーション(現・一丁)、2007年に紅とん、一源、2008年に北の家族など多くの企業や事業を取り込み成長してきた。 

ただ近年は2015年にチタカ・インターナショナル・フーズ(愛知県)からパステルレストラン事業を譲り受けて以来、M&Aの実績がない。同社がもう一度成長軌道に乗るためにM&Aの手法を駆使することは想像に難くない。

外食産業は新型コロナウイルスの影響で厳しい環境にさらされており、M&Aのチャンスは少なくない。どのような企業をグループに迎え入れるのか。新型コロナウイルスでピンチに追い込まれた同社だが、同時に成長のチャンスでもありそうだ。

ヴィア・ホールディングスの沿革と主なM&A
1934 東京市神田区神保町に新開社活版印刷所を開業
1948 東京都千代田区に暁印刷を設立
1963 日本証券業協会に店頭登録
1999 あかつきビーピーに社名変更
2001 焼き鳥居酒屋チェーン「備長扇屋」のフランチャイズ1号店を開店
2003 大阪下町の味お好み焼「ぼちぼち」のフランチャイズ1号店を開店
2004 扇屋コーポレーションの株式を取得
2004 エンゼルフードシステムズ(現・フードリーム)の株式を取得
2004 ジャスダック証券取引所に株式を上場
2005 ヴィア・ホールディングスに社名を変更し、ホールディングス体制に移行
2005 ウィルコーポレーション(現・一丁)の株式を取得
2007 紅とんの株式を取得
2007 一源の株式を取得
2008 セラヴィリゾート(名古屋市)から「北の家族」事業を譲受
2011 R&Cの株式を取得
2013 暁印刷の株式を譲渡し、外食サービス専業で構成されるグループに
2015 紅とん分社化
2015 チタカ・インターナショナル・フーズ(愛知県)からパステルレストラン事業を譲受
2016 東京証券取引所市場第一部に市場変更

文:M&A Online編集部