2021年上期の国内ベンチャー投資、2年ぶりに1000億円台乗せ

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コロナ禍の中、国内ベンチャー投資は持ち直しが鮮明に…(東京都内、写真はイメージです)

ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京都)がまとめた2021年上期(1~6月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年同期比39.4%増の1041億円となり、2年ぶりに1000億円台に戻した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がった前年同期は上期として7年ぶりに減少したが、今上期は投資意欲の持ち直し傾向が鮮明になった。投資件数も636件と前年同期より9.4%増えた。

第2四半期、金額が60%超の大幅増

VECは四半期ごとに国内のVC(事業会社のコーポレートベンチャーキャピタルを含む)による投資動向調査を実施している。今回の第2四半期(4~6月)調査には108社が回答した。

第2四半期の国内投資額は584億4000万円で、前年同期(359億6000万円)比62.5%の大幅な伸びを示した。前期(第1四半期=1~3月)比では27.9%増だった。一方、投資件数は353件で、前年同期を91件、前期を70件それぞれ上回った。

第2四半期の国内投資額を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」が48.4%とトップで、前年同期よりもシェアを5.3ポイント伸ばした。「バイオ、製薬」13.4%、「工業、エネルギー、その他産業」13.0%、「メディア、娯楽、小売、消費財」7.5%などが続いた。

「レイター」のシェアが倍増

国内投資額のステージ(成長段階)別動向では「アーリー」がシェア50・4%(前年同期47.7%)で引き続きトップ。以下、「シード」19.3%(同14.0%)、「エクスパンション」16.8%(同31.4%)、「レイター」13.5%(同6.9%)。事業が軌道に乗り、株式上場やM&Aを通じて出口(エグジット)を検討する段階にある「レイター」の伸びが目立つ。

一方、第2四半期の海外向け投資額は201億6000万円と前年同期の2.5倍に膨らんだ。上期全体では333億3000万円で、前年同期(307億8000万円)比8.2%増えた。

第2四半期に新設されたファンドは21本・1374億4000万円。前年同期比で本数は3本、金額は約555億円それぞれ増えた。出資者別の金額構成は「銀行・信用金庫・信用組合」40.4%、「事業法人」19.4%、「無限責任組合員及び業務執行組合員」15.9%、「保険会社」「政府・地方公共団体(年金以外)」各5.8%、「証券会社」4.7%、「年金基金」3.7%などとなっている。

文:M&A Online編集部