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配当還元法|企業価値のアプローチと評価手法(9)

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今回の数値例では、株主に帰属するフリー・キャッシュ・フローが全て配当されているために、フリー・キャッシュ・フロー法の結果と株主価値は同額となる。

連載第5回の「フリー・キャッシュ・フロー(FCF)法」の計算例(→記事はこちら)を以下に再掲する。

・20×2年の株主に帰属するフリー・キャッシュ・フロー :1,800(税引後純利益)+500(減価償却費)-2,500(資本支出)-200(運転資本増加額)+1,200(純借入額)=800

・20×3年の株主に帰属するフリー・キャッシュ・フロー :2,160(税引後純利益)+600(減価償却費)-1,800(資本支出)-120(運転 資本増加額)+720(純借入額)=1,560

・20×4年以降の株主に帰属するフリー・キャッシュ・フロー:2,376(税引後純利益)+660(減価償却費)-660(資本支出)-0(運転資本増加額)+0(純借入額)=2,376

・20×3時点のターミナル・バリュー:2,376÷0.13≒18,276.92(百万円)

A社株主価値:(800÷1.13)+(1,560÷1.13÷1.13)+(18,276.92÷1.13÷1.13)≒16,243(百万円)

以上、フリー・キャッシュ・フロー法と配当還元法による評価額が必ず同額となるわけではない点に注意が必要である。

次回は、ネットアセット・アプローチの各評価手法について見ていきたい。

文:細田 聖子(公認会計士・税理士)/編集:M&A Online編集部

細田 聖子 (ほそだ・せいこ)

経歴:2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から2000年まで香港留学。2003年より中国勤務開始。中国の大学で日本語教師、大連で日本語トレーナー、上海でコンサルティング会社勤務。2010年、公認会計士試験 論文式試験合格。2012年より、再び中国に戻り、深センの会計事務所、香港のコンサルティング会社を経て、再び上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。2018年4月まで、治療を続けながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月、独立。フリーランスのライターとして執筆活動、中国語を生かしたインバウンド関連業務等に従事。

学歴:広島大学学校教育学部卒業、島根県立松江北高等学校卒業

保有資格:公認会計士・税理士、第一種教員免許、日本語教師免許


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