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調整現在価値法(APV)とは?|企業価値のアプローチと評価手法(6)

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A社の株主価値の求め方

1.無負債事業価値の算定

まず、A社が全額自己資本によって調達していると仮定した場合の株主資本コスト(無負債株主資本コスト)を推定する必要がある。ここでは11.3%とする。

営業フリー・キャッシュ・フローを割り引いて、無負債事業価値を計算する。なお実効税率は40%とし、20×4年以降のフリー・キャッシュ・フローを一定と仮定する。

・20×2年の営業フリー・キャッシュ・フロー :3,300(営業利益)×(1-0.4)+500(減価償却費)-2,500(資本支出)-200(運転資本増加額)=-220
・20×3年の営業フリー・キャッシュ・フロー :3,960(営業利益)×(1-0.4)+600(減価償却費)-1,800(資本支出)-120(運転資本増加額)=1,056
・20×4年以降の営業フリー・キャッシュ・フロー::4,356(営業利益)×(1-0.4)+660(減価償却費)-660(資本支出)-0(運転 資本増加額)=2,613.6
・20×3時点のターミナル・バリュー:2,613.6 ÷ 0.113 ≒ 23,129

A社無負債事業価値:(-220÷1.113)+(1,056÷1.113÷1.113)+(23,129÷1.113÷1.113)≒ 19,326 

2.負債による節税効果の算定

次に、年々の支払利息による節税効果をそのリスクを反映した割引率(ここでは、利子率5%)で割り引くことによって節税効果の現在価値合計を計算する。

・20×2年の支払利息による節税効果:300(支払利息)×0.4(実効税率)=120
・20×3年の支払利息による節税効果:360(支払利息)×0.4(実効税率)=144
・20×4年の支払利息による節税効果:396(支払利息)×0.4(実効税率)=158.4
・20×3時点のターミナル・バリュー:158.4 ÷ 0.05 ≒ 3,168

事業価値は、無負債事業価値と節税効果の現在価値の合計であるから、
A社”事業”価値:19,326(無負債事業価値)+3,118(節税効果の価値)=22,444

そして、株主価値はこの事業価値から有利子負債を控除することによって計算されるので、
A社”株主”価値:22,444(事業価値)-6,000(有利子負債)=16,444(百万円)
となる。

次回は、インカム・アプローチの残余利益法について、見ていきたい。

文:細田聖子(公認会計士・税理士)/編集:M&A Online編集部

細田 聖子 (ほそだ・せいこ)

経歴:2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から2000年まで香港留学。2003年より中国勤務開始。中国の大学で日本語教師、大連で日本語トレーナー、上海でコンサルティング会社勤務。2010年、公認会計士試験 論文式試験合格。2012年より、再び中国に戻り、深センの会計事務所、香港のコンサルティング会社を経て、再び上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。2018年4月まで、治療を続けながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月、独立。フリーランスのライターとして執筆活動、中国語を生かしたインバウンド関連業務等に従事。

学歴:広島大学学校教育学部卒業、島根県立松江北高等学校卒業

保有資格:公認会計士・税理士、第一種教員免許、日本語教師免許


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