「梅の花」女子プロゴルファーと所属契約を締結 H2Oとは提携を解消

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梅の花が所属契約を結んだ識西諭里選手

湯葉と豆腐の店「梅の花」などをチェーン展開する梅の花<7604>は、欧州と米国のゴルフツアーを転戦している女子プロゴルファーの識西諭里(おにし・ゆり)選手と所属契約を結んだ。

梅の花が識西選手の国内外でプロゴルファーとしての活動をサポートし、識西選手は同社の広告宣伝活動やイベントに参加する。

梅の花はコロナ禍や原材料価格の高騰などの影響で業績を下方修正しており、2023年4月期の営業利益は当初の10分の1ほどの8400万円(前年度は16億3000万円の赤字)にとどまる見込み。

さらにエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)<8242>との間で10年以上続いていた資本業務提携を2023年3月に解消するなど、大きな変革の中にある。

識西選手による広告宣伝活動やイベント参加によって、変革の大波を乗り越え業績を好転させることはできるだろうか。

海外ツアーを一人で転戦する志に共感

識西選手は梅の花の本社所在地と同じ福岡県出身の26歳。10歳でゴルフを始め、中学2年生の時に「ハーフ33」を記録した。福岡県アマチュアゴルフ選手権で優勝し、2016年にプロへの転向を宣言。現在は欧州のLET(Ladies European Tour)と全米女子プロゴルフ協会(LPGA)の下部ツアーに参戦している。

梅の花では「海外ツアーを一人で転戦する識西選手の活動と高い志に共感を受けた」として、支援を決めた。

業績は下方修正

梅の花はコロナ禍の影響や原材料価格の高騰などを理由に、2023年4月に業績予想を修正し、売上高を23億7700万円引き下げ276億1200万円に、営業利益は7億6600万円引き下げ8400万円とした。

同社はコロナ禍前の2019年4月期に4億円の営業利益を計上したが、その後3年連続で営業赤字に陥っており、2023年4月期は当初8億5000万円の営業利益を見込んでいたが、下方修正で黒字化そのものに黄色信号が灯った形だ。

H2Oとは2012年11月に資本業務提携を結び、子会社化の協議を進めたが合意に至らず、2015年12月に協議を終了した。その後食材の相互供給や共同商品開発などに取り組んできたが、大きな効果が見込めないことから提携の解消に踏み切った。これに伴いH2Oは同社が保有している梅の花の株式4.7%を売却する。

最近の飲食業界では2022年9月に洋菓子の不二家<2211>が女子プロゴルファーの菅沼菜々選手とスポンサー契約を結んだほか、中華料理チェーン「大阪王将」などを展開するイートアンドホールディングス<2882>が、2023年4月5日から7日に開催された大会期間中に、プロゴルファーの大田和桂介選手とスポンサー契約を締結するなどの動きがあった。

梅の花はコロナ禍と原材料価格の高騰というアゲンスト(向かい風)の中、ミラクルショットを放つことはできるだろうか。

文:M&A Online