【中小企業のM&A】インターネット上で相手探しができるM&Aサイト、利用する際のポイントは?

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写真はイメージです

インターネット上で気軽に相手探しができて、自分たちで直接交渉も可能なM&Aサイト。利便性や流動性の面から考えると非常に有効なツールだと思います。

最近は地方銀行や信用金庫も提携やビジネスマッチングという形で取り組んでおり、若い創業希望者などを中心に登録者数は増加しているようです。利用の際のポイントについてお話します。

ポイント① 自分の会社がいくらで売れるのかを吟味しておく

中小零細企業の場合、自分で自分の会社の値段を計算できる人は少ないと思います。これは私の経験上で言えば、皆さんの顧問税理士さんでも実は計算できない人が多いのです。相続税の試算はできても、M&Aの価格はあまりやったことないし、苦労してやってみたところで作業代金としてお金貰えるかどうかもわからないし、というのが本音なのではないでしょうか。

株価だけにフォーカスして言いますと、自分でざっくり計算しておけば取り敢えずは十分だと私は思います。(営業利益か経常利益減価償却費役員報酬)×3年=自社のだいたいの値段。まずはこれくらいの目安でよいのではないでしょうか。

ポイント② マッチング先が適切なのかどうかの判断

会社を売るにしろ買うにしろ早いもの順でいいとか、一番高く買ってくれそうなところでいいとか、そういう考え方はあまり良い結果を生みません。特にM&Aサイトの場合は誰でも買手として手を上げることが可能です。

うれしい悩みとして一気に数十社が買手として手をあげて問い合わせをしてきたとします。全ての質問に自分一人で対応できますか? 次に条件交渉の場面を想像してみて下さい。売手と買手の関係は「利益相反」であり、基本的にお互い真逆のことを考えています。希望や意思を相手にわかりやすく伝える作業も素人ではなかなか難しいのではないでしょうか。

ポイント③ 基本合意とデューデリジェンス

大筋で合意できたら基本合意を締結します。ポイントとしては、これを交わすと他の買手候補者とは交渉できません。インターネットで検索すれば無料の雛形もたくさん出てきます。読んで内容が理解できるのであればそれをベースに自分たちで作成しても良いと私は思います。

次にデューデリジェンスは中小企業M&Aの場合、税務調査のイメージです。実際は税務調査より広範囲で、聞かれたくない質問も出てくるのだと思います。顧問税理士が協力してくれればいいのですが、あまり期待できない場合は各県にある「事業引継ぎ支援センター」に相談し、専門家を紹介してもらえば比較的安価でスムーズにいくと思います。

ポイント④ 最終契約の締結

最終契約書は法的な書面になります。弁護士に作成してもらうか、仮に自分たちで作成したとしてもリーガルチェックは必ず受けて下さい。費用は双方で折半します。契約成立は対価の授受で成立するケースがほとんどです。

ただし、売買が成立した後で問題が発生(発覚)することもあります。やはり、契約書は最初から弁護士にお願いしておくことがお互いの保険にもなります。最終契約書も先述の事業引継ぎ支援センターに相談すれば専門家を紹介してくれます。 

アドバイザー業を生業としている私も、もちろん百発百中で成約できるわけではありません。成約して「ホッ」としていると後からトラブルになったケースもあります。中小企業のM&Aは大企業や上場企業のM&Aに比べると、成約までの工程も煩雑なことが多いのも事実です。よき専門家とタッグを組めるかどうかが、インターネットM&A成功の秘訣なのかもしれません。

文:Antribe社長 小林 伸行(M&Aアドバイザー)

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