「トクホ牛丼」「ヴィーガン牛丼」変わり種が相次いで誕生

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写真はイメージです

国民食とも言われる牛丼に、変わり種が相次いで誕生した。大手牛丼チェーン店の吉野家ホールディングス<9861>は、外食チェーンで初めて特定保健用食品の許可を取得した冷凍牛丼の具「トク牛サラシアプレミアム(トク牛)」を2022年7月11日に発売した。

一方、日本料理店「京都 瓢喜(ひょうき)」などを日本と中国で運営するmihaku(東京都中央区)は、ヴィーガン(完全菜食主義者)向けのコース料理「ヴィーガン会席」の提供を7月15日から始めた。この中の一つが「畑の米 特製まるで牛丼」で、代替肉を用いて牛丼そっくりに仕上げた。

コロナ禍の中、牛丼の販売は善戦しており、大きな環境変化にも耐えられる特性があることが分かった。多様化する消費者の志向に合わせて、変わり種牛丼も増えていきそうだ。

サラシノールの量を1.7倍に

吉野家が販売を始めたトク牛は、具のたれにサラシアエキスのサラシノールを0.5ミリグラム配合しており、摂取した糖の吸収を抑えることで、血糖値の上昇が緩やかになる効果がある。その有効性や安全性については特定保健用食品として国が認めている。

吉野家では脂肪の少ない特別仕様の肉を使い、牛丼のたれにサラシアを配合する過程で工夫を凝らすなど、構想から8年、申請から4年の期間を費やして開発した。吉野家公式通販ショップのほかイオン、イオンスタイル(北海道・九州・沖縄を除く)で販売する。

サラシノールはインドやスリランカから東南アジアにかけて広く分布する植物で、糖質の消化酵素の働きを阻害して、血糖値の上昇を穏やかにする。

吉野家では、2015年から食生活の改善に役立つ牛丼の開発に取り組んでおり、今回のトク牛は、2017年に販売した「サラシア牛丼の具」「サラシア牛丼」よりもサラシノールの量を1.7倍に高めた。

3年の期間をかけて開発

mihakuが提供する「ヴィーガン会席」は、ヴィーガンのほか菜食主義や健康志向の人たち向けに開発したもので、代替肉を用いることで3年の期間を要した。

開発当初の代替肉は、濃い味付けの洋食に合うものが多かったが、他の食材の味を邪魔しない旨みや味わいのものが増えたことから、商品化が実現した。

ヴィーガン会席には「畑の米 特製まるで牛丼」をはじめ「畑 其之壱 野菜の重ね寿司」「畑 其之弐 トマトと昆布と紫蘇」「畑の鍋 蓮根つくね鍋 野菜盛り」などを用意した。

これまで同社では、精進料理で構成する「ベジタリアン会席」を提供していたが、味が物足りない、旨みがない、などの声があったため、新たなメニューを模索していた。

文:M&A Online編集部