デイトレードとは、主に個人投資家による株式、債券などの日計り取引のことを指す。1日に複数回の取引を行い、ゲーム性、ギャンブル性および依存性が高く、利益を上げるためには高い熟練度を要する。2000年あたりから多く現れ、スペキュレーター(投機家)と言われ、証券会社や投資顧問会社のトレーダー(会社員)とはジャンルが異なる人たちのことを指す。
デイトレーダーが活躍してきた過去の相場急落の局面も、ここ数年は日銀のETF(上場投資信託)買いや高速取引業者の台頭があり、デイトレーダーの名前はあまり聞かなくなってきた感がある。彼らは今どこで何をしているのだろうか?
こんなデータがある。投資余力を示すマネー・リザーブ・ファンド(MRF)の残高は昨年末で約12兆6000億円と、約2年ぶりの高水準となっている。
最近の元手が少ない若者デイトレーダーは数千円から手がけられるFX(外国為替証拠金取引)や暗号資産(仮想通貨)に流れているという説もある。2020年となった今、デイトレーダー世代も高齢化や、リタイア年齢が近づいてきているのかもしれない。
株式デイトレーダーにとってモニター画面を注視しながら秒単位で動く株価を追い続けるのは体力的にも気力的にも年々厳しくなってきているはずだ。
元来、デイトレードで成功する者は1割程度と言われており、残りは投資資金を失うか負債を抱えることになる…(筆者の周りでも結果的にマーケットから退場した人がほとんどである)。
FXや先物の場合、投資家どうしの値幅の取り合いはゼロ和のゲームであるが、トータルで見れば証券会社への手数料(と譲渡益税)分はマイナスになる、マイナスサムゲームである。
一方、株式取引の場合、株価が上昇すればプラスサム、下降すればマイナスサムである。取引回数が増え、あるいは時間枠が短期になればなるほど、手数料に食いつぶされる割合や金額が相対的に長期投資と比較して高くなってしまうのが正しい理論である。
もう一度、確認の意味を踏まえて申し上げるが、デイトレードとは元来、「投資」ではなく「投機」。利益を上げ続けるには値動きへの深い洞察力と高レベルな判断能力が必要なのである。これはいくら相場の勉強をしても身につくものではない、と筆者は思っている。
誤解を恐れずに言うならギャンブルと同じなのだから必勝法があるわけない(笑)。しかし、東京株式市場は長らく外国人投資家と、その反対売買をするデイトレーダーで流動性を保ってきたのも事実。
かつてのようにブラックスワン(黒い白鳥)に立ち向かうデイトレーダーが今後も現れるのか、それともデイトレーダーに寄る年波がマーケットの値付けのあり方にも変化を起こすのか注目しておきたい。
文:晴れの国トレーダー