「うどん」の復活でV字回復 トリドールHD

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東京都千代田区内の店舗

トリドールホールディングス<3397>が2020年3月期の営業利益を当初予想の54億6400万円から、22.4%増の66億8900万円に上方修正した。 

テレビコマーシャルの増量や他社とのコラボレーションなどを実施した、うどんチェーン店の丸亀製麺の業績が好転したためで、2020年3月期の売上予想も当初の1567億9000万円から、1.4%増の1590億6000万円に引き上げた。 

丸亀製麺はトリドールホールディングスの総売上高の6割強を占める主力事業だけに、業績はもとより事業戦略などに与える影響も大きい。同社は2017年、2018年にそれぞれ3件のM&Aを実施したが、2019年は今のところ実績がない。うどんの復活とともに、こちらの復活の可能性もありそうだ。 

業績回復でM&Aも回復か 

2020年3月期第2四半期の丸亀製麺部門の業績は、前年同期比8.5%の増収、同18.7%の増益だった。2019年3月期が前年度比0.5%の減収、同11.1%の減益だったため、復活度合いは鮮明だ。 

トリドールホールディングスの2019年3月期は丸亀製麺の不振が足を引っ張り、営業利益は前年度比69.8%減の23億200万円と大幅な減益となっていた。2020年3月期は2018年3月期の営業利益76億3500万円には届かないが、丸亀製麺の復活で営業利益はV字形の回復となる見込みだ。 

丸亀製麺は国産小麦を使用し、粉からうどんを作り、打ち立て・生、茹でたてを提供するセルフスタイルの店舗で、2019年9月末時点で全国に824店がある。新たなマーケティングプランやテレビコマーシャルなどは今後も有効だろうか。下期の業績はうどん頼みとなりそうだ。

本社移転が呼び水になるか

トリドールホールディングスは2017年、2018年に活発なM&Aを実施した。2017年はヘアカラーの専門店を運営するFast Beauty、大衆酒場「晩杯屋」などを運営するアクティブソース、   背脂系濃厚とんこつラーメン店を運営するZUNDの3社をグループ化した。 

さらに、2018年には香港の雲南ヌードルチェーン譚仔雲南米線と譚仔三哥米線、ハワイのローカルフード「ポケ」をチェーン展開する米国のポケワークス、シンガポールのカレー店モンスターカレーの4社をグループ化した。 

2017年はいずれも国内企業、2018年はいずれも海外企業相手のM&Aだった。2019年は残り1カ月半だが、業績回復が明確になっており、次の動きが現れても不思議はない。同社は2019年9月に本社を神戸市から東京都渋谷区に移転した。新たな動きの呼び水となるか。

トリドールホールディングスと沿革と主なM&A
1985 焼鳥居酒屋「トリドール三番館」(兵庫県加古川市)を創業
1990 トリドールコーポレーション設立
2000 セルフうどんの新業態として「丸亀製麺加古川店」(兵庫県加古川市)開店
2006 東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場
2007 兵庫県神戸市中央区に本社を移転
2008 東京証券取引所第一部に上場市場を変更
2013 米国、香港で外食事業を展開するDREAM DINING CORPORATIONを買収し、グループ会社化
2015 米国で「Kaya Street Kitchen」を企画運営するNom Nom Enterprise LLCに出資し、グループ会社化
2015 欧州を中心に17カ国でアジアン・ファストフードを展開するWok to Walk Franchise B.V.を買収し、グループ会社化
2016 マレーシアでヌードルショップを運営するUtara 5 Food and Beverage Sdn Bhdに出資し、グループ会社化
2016 美と健康を提案するライフスタイルブランド「SONOKO」を展開するSONOKO グループを100%子会社化
2016 持株会社体制に移行し、トリドールホールディングスに社名を変更
2016 ロンドンのラーメンブランド「昇龍」をグループ会社化
2017 ヘアカラーの専門店を運営するFast Beautyをグループ化
2017 トリドールをトリドールジャパンに社名変更
2017 大衆酒場「晩杯屋」などを運営するアクティブソースをグループ化
2017 背脂系濃厚とんこつラーメン店を運営するZUNDをグループ化
2018 香港の雲南ヌードルチェーン譚仔雲南米線と譚仔三哥米線をグループ化
2018 ハワイのローカルフード・ポケをチェーン展開する米国のポケワークスをグループ化
2018 シンガポールのカレー店モンスターカレーをグループ化
2019 東京都渋谷区に本社を移転

文:M&A Online編集部