TOPPAN「アニメ」や「マンガ」などの日本発コンテンツ関連事業に着手 傘下に収めた英国社を活用

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TOPPANホールディングスの中核会社TOPPANの本店(東京都台東区)

印刷業界最大手のTOPPANホールディングス<7911>が、英国を中心とした欧州でアニメやマンガなどの日本発のコンテンツ関連事業に乗り出した。

2024年2月に買収した英国で日本文化の発信イベント「HYPER JAPAN」を運営するCross Media(ロンドン)を介して実現を目指すもので、今後日本企業や自治体などのコンテンツホルダーに対し、関連商品の開発や製造、英国でのIP(知的財産)管理や物販などのサービスを展開する。

TOPPANは2026年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画で、前中期経営計画に引き続きM&Aによって非連続な成長を目指すとしており、すでに2024年2月にシンガポールの物流関連企業のKEYFIELDSを子会社化している。

アニメ、マンガの次は何がくるだろうか。

2030年に20億円の売り上げ目指す

Cross Mediaは、日本のアニメやマンガなどのコンテンツをはじめ、日本酒や日本食など、日本文化全般を発信しており、同社を傘下に収めることで「HYPER JAPAN」への日本の企業や自治体の進出を支援するほか、2025年までに現地での物販網を整備し、2030年に20億円の売り上げを目指す計画だ。

またTOPPANは、高精細な画像データ処理や高度なセキュリティ認証などの技術を用いて、文化、観光、教育、製造、エンターテインメントなど幅広い分野でメタバース(インターネット上の仮想空間)サービスを展開している。

2023年12月には、べトナムの大手システムインテグレーターと、メタバース事業での新サービスの創出やグローバル展開に向けた協業を始めており、この連携によってグローバル市場でのメタバースサービスの開発と展開を加速するという。

今回の子会社化もこの方針に沿っており、Cross Mediaが展開しているリアルな事業と、TOPPANのメタバース事業を組み合わせ、リアル、バーチャル両面で日本文化やIPコンテンツの海外展開を推進する。

こうした対策で、英国や欧州での日本発コンテンツを広め、日本ファンの増加によるコンテンツ市場の拡大や、インバウンド(訪日間顧客)の増加につなげたい考えだ。

SX、DX、新事業でM&Aを活用

TOPPANは現中期経営計画で、SX(事業と環境や社会、ガバナンスなどを両立する企業経営)や、DX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)、新事業領域(ヘルスケア、センサー、カーボンニュートラル、メタバースなど)で、M&Aを活用する方針を掲げている。

2024年に実施したシンガポールの物流関連企業のKEYFIELDSの買収も、新たなビジネスモデルの開発を進め、日本やアジアでの物流DX事業を拡大するのが狙いだ。

前中期経営計画でも同様の考えのもと、ドイツの大手建装材用化粧シートメーカーや、米国のパッケージメーカー、インドの大手フィルムメーカー、タイの軟包装材メーカーなどを子会社化してきた。

事業投資に約1000億円を設定

TOPPANによると、コロナ禍による巣ごもり需要や、OTT(インターネット回線を介してコンテンツを配信するサービス)の成長などで、日本のアニメに対する関心が高まっており、欧州では2030年に90億ドル(1兆3500億円)まで市場が拡大すると見られているという。

ただ、英国ではコンテンツの流通や販売などの整備が進んでいないなどの課題があったことから、今回のM&Aに踏み切った。

同社では現中期経営計画の3年間で約4000億円の設備投資を計画しており、このうち25%に当たる1000億円をM&Aに振り向ける計画だ。

これまでのM&Aとは一味違うコンテンツ事業に乗り出したTOPPANが次に狙うのは何だろうか。

文:M&A Online