中小企業の3割超が事業再編を視野に 東商アンケート

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市場規模予測、「横ばいか縮小」が7割超

東京商工会議所(三村明夫会頭)は11月26日、新型コロナウイルスの影響を踏まえた「中小企業の経営課題に関するアンケート」結果を公表した。向こう3~5年間の自社業界の市場規模について、7割余りの企業が横ばいか縮小を見込む中、全体の3割超が事業再編のスキームを視野に入れていることが明らかになった。

東京23区内の中小企業・小規模企業を対象としたアンケートは毎年、東商の中小企業委員会が実施。今回は9月15日から10月6日までを調査期間とし、郵送とEメールで調査票を送付した8000社のうち1524社(19.1%)が回答した。

コロナ禍で黒字企業が減少

3~5年先の業界の中期展望について、最も多かったのは「横ばい」の47.2%。「縮小見込み」は26.1%、「拡大見込み」は18.0%だった。競争環境は「激化する」が42.1%、「横ばい」が41.7%で、「緩和する」は3.4%。3~5年間先の事業方針は46.0%が「現状維持」、40.2%が「拡大」としたが、7.7%が「縮小」、2.1%は「廃業を検討」と答えた。

事業の見通しについて 事業方針(今後3~5年先の展望)

事業方針(今後3~5年先の展望)
東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果より引用

実際の売上高の推移は、コロナ禍以前(2019年1~9月)よりマイナスとなった企業が57.2%に上り、感染拡大直後(2020年1~9月)と比べても41.1%が減少。収益も同様の傾向で、前々期は57.6%の企業が黒字だったのに対し、前期(直近決算期)の黒字企業は45.9%に縮小。さらに、今期の黒字を見込む企業は40.9%に落ち込んでいる。

事業ポートフォリオを見直す動きも

こうした中、2020年3月以降に開始・実施した新たな取り組みとしては、「人材の採用・開発・教育の強化」(27.8%)、「ECやDXなどデジタル化、ITツールの活用」(18.5%)が多かった。半面、「新分野展開」(16.3%)、「業態・事業・業種転換」(12.3%)、「M&Aや合併、会社分割などによる事業再編」(6.2%)を合わせ、事業ポートフォリオを見直す動きも34.8%を占めた。

このほか、2021年3月以降に利用した(予定を含む)補助金・助成金は、事業再構築補助金が6.5%。事業承継・引継ぎ補助金/事業承継支援助成金は1.4%だった。

事業承継税制の周知が課題

また、事業承継税制に係る特例承継計画について「申請済み・申請中」としたのは3.5%で、7.1%は「申請を検討している」と回答。ただ、全体の32.0%は「よくわからない」が占め、制度そのものの周知が不足している実態も見て取れる。

事業承継税制に係る特例承継計画について

事業承継税制に係る特例承継計画について
東京商工会議所「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果より引用

同委員会は今回の調査結果を基に、中小企業が抱える経営課題などを検証。国や都などの関係機関に例年提出している「中小企業対策に関する重点要望」に反映させる。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
「中小企業の経営課題に関するアンケート結果」について|調査|調査・ガイドライン |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)
中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果【全体】 (tokyo-cci.or.jp)