苦境に陥った「結婚ビジネス」コロナ対応に四苦八苦

alt
写真はイメージです

結婚ビジネス業界が四苦八苦している。3回目の緊急事態宣言が発出される中、協業に乗り出す企業や、一層の感染防止対応を打ち出す動きなどが現れてきた。

コロナ禍で、挙式や披露宴の中止、延期が相次ぐ厳しい経営環境をなんとか乗り切ろうという前向きな取り組みだが、東京商工リサーチの調べによると、赤字に転落する結婚ビジネス関連企業が続出しており、結婚式場の倒産件数も、2年連続で前年度を上回るなど状況は至って厳しい。

この危機的状況を結婚ビジネス業界はうまく乗り越えることができるだろうか。

テイクアンドギヴ・ニーズとIBJが連携

ウェディングプロデュース事業を手がけるテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>は、IBJ<6071>が運営する結婚相談所ネットワーク「⽇本結婚相談所連盟」に加盟し、2021年4月30日に結婚相談所「ema 東京(エマ トウキョウ)」を開業する。

IBJが持つ成婚ノウハウやシステムをテイクアンドギヴ・ニーズに提供し、婚活支援で協働することで互いの事業の拡大を目指す。

2021年4月30日にオープン予定のema 東京

テイクアンドギヴ・ニーズは、これまで数多の結婚式をプロデュースしており、「ema 東京」では、成婚のサポートや成婚後の両家顔合わせ、式場選び、結婚式のプロデュースまで一貫したサービスを展開する。

日本結婚相談所連盟は全国に約2700社の結婚相談所と、お見合い会員約7万人をつなぐ結婚相談所ネットワークで、加盟する相談所の中には旅行、ホテル、飲食、保険、アパレルなどの婚活と親和性の高い企業が新規事業や副業として婚活支援をスタートするケースも少なくないという。

IBJはこの日本結婚相談所連盟を運営するとともに、傘下企業に40年の歴史を持つ老舗結婚相談所のサンマリエ(東京都新宿区)と、イオンから譲り受けた大手結婚相談所のZWEI(東京都中央区)がある。

結婚式でアルコールを不提供

リクルートホールディングス<6098>の結婚情報サービス・ゼクシィと、結婚式場運営各社は2021年4月27日に共同で、3回目の緊急事態宣言が発出されている東京、大阪、京都、兵庫の4都府県での結婚式で、アルコールを提供しないことや、カラオケ設備を使用しないこと、さらには消毒などの感染対策の徹底などを決め公表した。

これまでの緊急事態宣言では休業などをはじめとする要請の対象外だったが、今回初めてアルコールを提供しないことなどを求められたことから、アルコールのほかカラオケの不使用や、消毒、換気の徹底、アクリルパーテーションの活用などの感染防止対策を改めて打ち出した。

同社によると新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年は約20万組の結婚式が延期となっており、2021年のゴールデンウィーク中に、延期分を含め多くの結婚式が予定されているという。

東京商工リサーチによると、結婚式場などの結婚ビジネス関連企業198社の2020年決算(2020年1~12月期)を集計した結果、売上高合計が前年度比11.4%減の5908億5000万円に留まった。損益も前年度の312億1000万円の黒字から、119億2800万円の赤字に転落した。

198社中、黒字企業は127社で、赤字企業は71社だった。赤字企業は2018年が39社、2019年が41社だったため、2020年は2倍近くにまで増加したことになる。売上高の減少に伴い、固定費用が負担となり赤字計上を余儀なくされた企業が多かったという。

また2020年度(2020年4月~2021年3月)の結婚式場の倒産は、2年連続で前年度を上回る9件となった。このうち、7件は新型コロナの影響だった。

文:M&A Online編集部