時価総額1兆ドル超えの米テスラ、トヨタ、ホンダとの差は?

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米電気自動車(EV)大手テスラの時価総額が米国時間2021年10月25日に1兆ドル(約115兆円)を突破した。自動車メーカーで時価総額が1兆ドルを超えているのはテスラだけだ。2020年1月には時価総額でトヨタ自動車<7203>の半分以下だったテスラだが、半年後の同7月にはトヨタを追い抜いている。

トヨタの時価総額も1.5倍に増えたが…

テスラと日本車メーカーの時価総額は、どれだけ違うのだろうか?国産乗用車メーカー各社の時価総額(10月26日終値)を見てみよう。国産車トップのトヨタですら32兆3000億円で、今やテスラの3分の1に過ぎない。

それでもトヨタの時価総額は2020年7月には21兆7000億円だったから、1年3カ月で約1.5倍に増えているのだ。平均株価が伸び悩む中での高成長といえる。にもかかわらず差が大きく開いたのだから、テスラの成長率が段違いに大きいことが分かる。

2位のホンダ<7267>は6兆1900億円と、テスラの約19分の1。3位の日産自動車<7201>は2兆4800億円と、テスラ株のほんの2.2%を株式交換すれば100%子会社化できるレベルだ。

4位のSUBARU<7270>は1兆7500億円とテスラの約66分の1。5位のマツダ<7261>は約6600億円、6位の三菱自動車<7211>は約5500億円と、両社ともテスラの100分の1未満だ。

国産乗用車メーカーの全時価総額でも歯が立たない

国産乗用車メーカー6社の時価総額を合計しても、テスラ1社の4割にも満たない。テスラは半導体不足にもかかわらず生産台数を伸ばしており、2021年1月から9月までの生産台数は62万4582台、販売台数は62万7350台となり、いずれも年間目標の75万台を超える見通し。

これは過去最高だった2020年通年販売台数の49万9550台を50%上回る数字だ。時価総額の高騰も単なる「市場の期待値」や「青田買い」ではなく、現実の業績に基づいたものといえよう。

EVはガソリン車やハイブリッド車(HV)よりも半導体チップへの依存度が高い。そのためポストコロナの需要急増に伴う半導体不足は、既存の自動車メーカーよりも深刻だ。

テスラは代替チップの開発や代替チップ向けファームウエアの作成といった対応策を打ち出し、生産台数を増やすことに成功している。半導体不足で生産が伸び悩んでいる日本車を出し抜き、ビジネスチャンスを拡大しているようだ。

世界的な半導体不足で生産が伸び悩む日本車メーカー(トヨタホームページより)

しかし、時価総額でも上には上がいる。米株式市場では2兆5000億ドル(約285兆円)のアップル、2兆3000億ドル(約262兆円)のマイクロソフト、1兆8000億ドル(約205兆円)のアルファベット(グーグル)、1兆7000億ドル(約193兆円)のアマゾンなどが、テスラを大きく上回っている。

こうしたネットビジネス陣営に、ハードビジネスのテスラが割り込めるのか。テスラの時価総額に「ものづくりの復権」がかかっている。

文:M&A Online編集部