2023年はコロナ関連倒産が急増か「コロナ融資」の返済が引き金に

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コロナ関連倒産の急増が懸念されている。2023年3月以降にコロナ融資(実質無利子、無担保融資)の返済が本格化し、資金に余裕のない中小企業による「あきらめ倒産」が見込まれるためだ。

帝国データバンク(東京都新宿区)が2022 年 8 月に行った調査では、コロナ融資を受けた企業のうち2023 年以降に返済を迎える企業が約3割を占めていた。

同社によると、すでにコロナ融資後の倒産が増加しており、2023年は1年間で500件ほどに達し、2020年7月以降の累計(566件)に近づき、年内には1000件を超えると分析している。

55兆円に上るコロナ融資によって窮地を乗り越えてきた中小企業に、再び窮地が訪れようとしている。

国民の1人当たりの負担は280円

帝国データバンクによると、2022年にコロナ融資後に倒産した企業は384件で、2021年(167件)の2.3倍に急増した。業種別では建設が最も多く85件に達し、次いで卸売業(76件)、製造業(65件)、飲食業の27件を含む小売業(58件)の順だった。

この結果、コロナ融資累計の損失額は334億円ほどに達したと推計されており、国民1人当たりでは280円ほどの負担が発生している計算になる。

コロナ融資後の倒産は、2021年は月間10件ほどで推移していたのが、2022年は3月以降に同30件ほどとなり、5月には最多の43件に達するなど発生ペースが加速している。2023年はこのペースを上回ることが見込まれるため、国民の負担はさらに増しそうだ。

文:M&A Online編集部