与党税制大綱が決定、早期の事業承継に「強く期待」

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東京・永田町

オープンイノベーション税制の拡充など明記

自民、公明両党は12月10日、2022年度の与党税制改正大綱を正式決定した。岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現を見据えた対応が柱で、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーション促進税制の拡充、法人版事業承継税制の特例承継計画の提出期限延長などを盛り込んだ。

「成長と分配の好循環」実現に「必要不可欠」

最終的に市場の拡大などを目指すオープンイノベーション促進税制は、資金の払い込みによる出資について一定額の所得控除を認める画期的な措置。与党税制改正大綱では、スタートアップの徹底支援と既存企業の事業革新を促すことで企業が生み出す付加価値の向上につなげることを「成長と分配の好循環」の実現に「必要不可欠」とした。

現行制度の適用期限は2021年度末までで、出資先の対象は設立10年未満の国内外非上場企業だが、オープンイノベーションを加速させるために適用期限を2023年度末まで2年間延長。対象に、設立10年以上15年未満の研究開発型スタートアップを追加する。大企業は1億円以上、中小企業は1000万円以上出資した場合に法人税の負担が軽減される。

法人版事業承継税制の特例計画提出期限を緩和

また、法人版事業承継税制は2018年1月から10年間の措置だが、適用に当たっては2023年度末までに特例承継計画を提出する必要がある。新型コロナウイルスの影響で計画策定に時間を要する場合も想定されることから、提出期限を2024年度末まで1年間延長する。

ただし、特例措置自体は中小企業の事業承継を集中的に進めることを目的とした時限措置のため、2027年12月末までの適用期限は今後も延長しない。大綱には、適用期限を見据えた早期の事業承継の取り組みに「強く期待する」との意見も明記した。

登録免許税・不動産取得税の特例も2年延長

このほか、産業競争力強化法に基づく事業再編に従い実施する合併や会社分割などで生じる登録免許税の軽減措置について、現行制度では2021年度末までの適用期限を2023年度末まで2年間延長する。

不動産取得税も同様で、中小企業等経営強化法に規定する認定経営力向上計画に従って行う事業の譲受で取得した一定の不動産に係る課税標準の特例措置の適用期限を2023年度末まで2年間延長する。

政府は12月中に2022年度の税制改正案を閣議決定し、年明けの通常国会に関連法案を提出。2021年度末までの成立を目指す。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
令和4年度税制改正大綱 (nifcloud.com)
令和4年度税制改正に関する経済産業省要望 (meti.go.jp)