副反応の少ない新コロナワクチン「ヌバキソビッド」ってどんなもの

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写真はイメージです

米国のバイオ企業ノババックス(メリーランド州)が開発した遺伝子組み換えたんぱくを主成分とする新型コロナウイルス感染症ワクチン 「ヌバキソビッド」が厚生労働省から製造販売承認を取得した。

武田薬品工業<4502>が2021年12月に製造販売承認を申請していたもので、すでに武田薬品の光工場(山口県光市)でワクチンの製造を行っており、近く出荷を始める。

日本では主に米ファイザーと米モデルナのワクチンが使用されており、副反応として発熱や倦怠感などが報告されている。

ヌバキソビッドは、副反応が軽いことが臨床試験で明らかになっており、副反応を嫌って3回目の接種を控えている人たちにとっては、接種に前向きになれる材料になりそうだ。ヌバキソビッドとはどのようなワクチンなのか。

発症予防効果は90%前後

遺伝子組み換えワクチンは、大腸菌などの生物にウイルスの遺伝子を組み込み、ウイルスのたんぱく質を作り出したうえで、このたんぱく質をワクチンとするもので、すでにB型肝炎ワクチンなどで実績があり、安全性が高く副作用が少ないことが知られている。

新型コロナウイルスはヒトの細胞に入り込む際に、スパイクたんぱくというウイルス表面にある突起を利用する。

ヌバキソビッドは、このスパイクたんぱくを、遺伝子組み換え技術で作り出し、これをワクチンとして接種し、スパイクたんぱくと結合することでスパイクたんぱくの機能を奪う抗体を作ることで感染を予防する。

英国と、米国、メキシコで行った第3相臨床試験では、いずれも90%前後の発症予防効果が確認されているほか、安全性に関する大きな懸念は認められなかったとしている。

武田薬品はノババックスから製造技術のライセンス供与を受け、国内で年間2億5000万回分を製造する計画で、すでに日本政府と年間1億5000万回分の供給契約を結んでいる。

ヌバキソビッドの実力は

現在日本で主に使われているファイザーとモデルナのワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝子を用いるもので、スパイクたんぱくを作り出すmRNAを体内に入れ、スパイクたんぱくを作り出させたうえで、このたんぱく質と結合する抗体を作りだすことで感染を防ぐ。

ファイザーは同社製のワクチンが新型コロナウイルス感染症の予防に90%以上有効であり、深刻な安全上の懸念は観察されなかったと発表。モデルナも同社製ワクチンが新型コロナウイルスの予防に94.5%有効であり、重大な安全上の懸念は報告されていないとしている。

ファイザーとモデルナのワクチンよりも、副反応が少ないとされるヌバキソビッドだが、期待通りの成果を上げることができるのか。近く、その実力が明らかになる。

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文:M&A Online編集部