うっかり間違えやすい社名シリーズの第3回をお届けします。今回はカタカナ会社にスポットを当てます。
まずトップバッターはジャムや缶詰で知られるアヲハタ<2830>。同社のシンボルマークである「青旗」をカタカナ読みしたものですが、よく注意してみると、表記は「オ」でなくて、「ヲ」となっています。
アヲハタは1932年にミカンの缶詰をつくる「旗道園」として広島県竹原市でスタートしました。その後、社名は「青旗缶詰」に変え、1988年にブランド名と同じアヲハタとなりました。創業者の中島董一郎が英国滞在中、テムズ川で観戦したケンブリッジ大学とオックスフォード大学のボートレースに感動し、両校のスクールカラーである青い旗に強い印象を持ったことに由来するといわれています。
実は、アヲハタはキユーピー<2809>と切っても切れない緊密な関係にあります。キユーピーは東京で1919年に食品工業(前身)として発足しましたが、創業者は同じ中島董一郎。両社は長年、兄弟関係を築き、2014年以降はキユーピーがアヲハタを連結子会社としています。
そういえば、キユーピーも間違いやすい社名の一つ。大きな「ユ」ですね。同様の社名として、オンキヨー<6628>、キヤノン<7751>、シヤチハタ(名古屋市)、富士フイルムホールディングス<4901>なども小字を使っていない点に注意です。
ヘルスケア製品大手の米Johnson & Johnson。同社は先に、化粧品ブランド「ドクターシーラボ」を展開するシーズ・ホールディングス<4924>をTOB(株式公開買い付け)などで約2300億円を投じて子会社化することを発表しましたが、日本での表記は「ジョンソン・エンド・ジョンソン」。アンドではなく、発音に近い「エンド」となっています。
一方、同じ米国の家庭用品大手、Procter&Gambleの日本表記は「プロクター・アンド・ギャンブル」と、こちらは「アンド」です。
もっとも、前者はJ&J、後者はP&Gと略称で広く知られているので、「&」の読み方に気を留めることもなさそうですね。
「カビキラー」など家庭用洗剤で知られるのはジョンソン。米SCジョンソンの日本法人です。つい先ほどのジョンソン・エンド・ジョンソンと混同しがちですが、まったく別の会社で関係がありません。
米国発の世界的なアイスクリームチェーン「サーティワン」を日本で展開するB-Rサーティワンアイスクリーム<2268>。サーティーワンではなく、サーティワンです。数字の31を表しますが、ひと月(31日間)、毎日違ったフレーバーのアイスクリームを楽しんでもらいたいとの創業者の思いを込められています。
食品関連で少し付け加えましょう。カレールウやスパイスの大手、ヱスビー食品<2806>の場合は、「ヱ」を使うのが正解です。平仮名は「ゑ」と表し、歴史的仮名遣いといえます。
社名ではありませんが、サッポロビールが製造・販売する麦芽100%のプレミアムビール「ヱビスビール(YEBISU)」も、やはり「ヱ」を使っています。「ヱビスビール」は同社の前身・大日本麦酒の主力ブランドで、1971年に28年ぶりに復活し、ビール党に根強い人気を誇ります。
文:M&A Online編集部