「スシロー」「小僧寿し」が子会社再編 焼き鳥、すし、ラーメンなどを一体化

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写真はイメージです

飲食業に前向きな動きが出てきた。回転ずしスシローを展開するFOOD & LIFE CONPANIES<3563>は、いずれも子会社で、すし居酒屋の杉玉を運営するFOOD & LIFE INNOVATIONS(東京都千代田区)を、2021年に吉野家ホールディングス<9861>から譲り受けた、持ち帰りずしの京樽(東京都中央区)に譲渡する。

持ち帰りずしの小僧寿し<9973>は、いずれも子会社で、札幌ラーメン「どさん子」などを展開するアスラポート(東京都中央区)と、鳥料理居酒屋「とり鉄」などを展開するトランセア(東京都中央区)を合併する。

両社ともに、各社が保有するノウハウや経営資源を共有することで競争力を高めるとともに、管理コストの削減や業務の効率化を進めるのが狙いだ。

新型コロナの規制緩和や、5類への移行などによって、飲食店への来店客数は増加傾向にあり、2023年は事業の成長が見込まれる。両社はこうした状況を踏まえ、組織の再編に乗り出したもので、同様の前向きな動きは業界内に広まりそうだ。

一体運営で黒字転換

京樽は持ち帰りずしのほか、回転ずしの「海鮮三崎港」や、すし専門店の「すし三崎丸」などを展開しており、国内で280店舗(2023年9月14日時点=同社ホームページより)を運営している。民間信用調査会社によると2022年9月期の売上高は214億1100万円で、当期損益は22億4400万円の赤字だった。

FOOD & LIFE INNOVATIONSは「杉玉」のほか、おむすびスタイルのすし屋である「むすび寿司」を展開しており、杉玉を国内67店舗、海外1店舗、むすび寿司を国内1店舗(2022年9月末時点)運営している。民間信用調査会社によると2022年9月期の売上高は39億4100万円で、当期損益は3億2800万円の赤字だった。

持ち帰りずし、回転ずし、すし居酒屋、おむすびずしを一体運営することで、コストを削減するとともに、それぞれの強みや資産を相互活用し競争力を高め、黒字転換を目指す。

飲食事業部門を再編

2022 年7月に小僧寿しの傘下に入ったアスラポートは「どさん子」のほか、焼き鳥の「ぢどり亭」や、トンカツの「キムカツ」などを展開しており、フランチャイズを含め259店舗(2023年8月25日時点)を運営している。2022年12月期の売上高は6億7781万円で、営業損益は103万円の赤字だった。

2021年7月に小僧寿しの傘下に入ったトランセアは、「とり鉄」のほか釜飯と鳥料理の「とりでん」などを展開しており、フランチャイズを含め55店舗(同)を運営している。2022年12月期の売上高は16億516万円で、営業利益は7140万円だった。

今回の合併は飲食事業部門の再編の一環で、両社のノウハウや人材などの経営資源を一体化することで経営基盤を強化する。2023年10月1日にアスラポートが存続会社となりトランセアを吸収合併する。

業績は回復傾向

FOOD & LIFE CONPANIESの業績は回復傾向を示しており、2023年9月期の売上高は前年度比13.8%増の3200億円、営業利益は同8.7%増の110億円を見込む。

小僧寿しは、2連続の営業赤字に陥っているが、赤字幅は縮小し、2023年12月期の営業損益は9500万円の赤字(前年度は6億1300万円の赤字)に留まる見込み。売上高は同28.2%増の132億円と2ケタアップを予想する。

子会社の組織再編は業績にどのように影響してくるだろうか。

文:M&A Online