食べるM&A 韓国ファンドがスシロー買収? 現地の店舗でメニューを検証

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 「スシロー」ブランドで知られる回転寿司の大手、あきんどスシロー。全皿100円均一のお手頃さと「フライドポテト」や「カタラーナアイスブリュレ」など豊富なサイドメニューが家族連れなどに人気です。最近では11月11日から「苺のふわとろパンケーキ」を投入、想像を上回る反響で販売休止となりましたが、19日からいよいよ販売が再開される予定です。

 そんな回転寿司業界を上手に渡っているように見えるスシローですが、今年10月上旬には韓国系投資ファンドのMBKパートナーズに買収されるとの一部報道があり、世間を騒がせました。

 奇しくも、スシロー海外初出店の地は韓国・ソウル。そこで、M&A Online編集部では現地のスシローに足を運び、どのようなメニューが展開されているのか調査してきました。

 やってきたのは、大きなショッピングモールの中にあるTIMES SQUARE店。夕飯どきともあって、店内の8割ほどの席は埋まっています。

 注文はタッチパネルで簡単にでき、英語や日本語、中国語にも対応。まず目についたのは、ガリのほかにらっきょうがテーブルに常備されていたこと。韓国の寿司屋にはつけ添えとして必ずあるのだとか。そして、全ての寿司はわさび抜きとなっていて、別添えのものをつけて食べます。

  

 メニューの中には、もちろん韓国ならではのローカライズメニューがありました。

 まずは牛カルビ。「お寿司?」という感じはありますが、外れのない安定の美味しさです。

 びんちょうまぐろも、コチュジャン添えでいただきます。刺身もコチュジャンで食べる韓国らしい一品です。見た目とは違って意外と辛くないので、おすすめです。

 一番想像とかけ離れていたのが平目キムチ。キムチというと唐辛子にまみれた赤いイメージですが、何やら白菜のようなものがのっています。食べてみると少し酸味の強い白菜の漬物のよう。韓国語のメニューで確認してみると、キムチはキムチでも「ムグンジ」という古漬けのキムチとのことでした。


 国内の回転寿司業界では「ファミレス化」が進んでいます。原価高騰や寿司職人の不足といったあおりを受ける中、寿司だけでなく、サイドメニューも強化し、幅広い層の客層を取り込もうという狙いです。スシローは現在、国内で約440店舗を運営しています。国内では人口減少に加え、ほかの回転寿司店やファミレスなどとの競争が激化し、競合との差別化が求められていることが背景にあります。

 一方、韓国では、うどんやスイーツなどのサイドメニューも健在でしたが、日本よりはまだまだ回転寿司そのものの需要が高いうえに、競合もほとんどないので、ファミレス化といえるほど多様化はしてなさそうです。スシローは2011年に韓国に進出しましたが、現在は6店舗にとどまっています。日本食は韓国でも大人気で、その象徴ともいえる寿司を1皿1700ウォン(約160円)で食べられるスシローは今後の出店余地が大きいといえそうです。

アジアの回転寿司市場の成長性に着目?

スシローはお寿司だけでなく、親会社も目まぐるしく「回転」してきました。2007年に投資ファンドのユニゾンキャピタルと資本業務提携し、2009年に株式を非公開化しました。そして2012年にユニゾンが英投資ファンドのペルミラに株式を譲渡しました。

 スシローの親会社になったペルミラは元日本航空副社長で外資系コンサルティング会社で企業再生を手がけた水留浩一氏を社長に送り込みました。2015年9月期の売上高は1350億円と2012年9月期(1113億円)から約2割増えました。買収ファンドは3~5年程度で株式を転売して利益を上げるのが一般的。ペルミラはそろそろ投資回収のタイミングを探っているとみられます。

 買収候補として浮上しているMBKパートナーズは米カーライル・グループ出身者によって設立された、韓国系のプライベートエクイティファンドです。日本でもユニバーサルスタジオジャパンやコメダ珈琲店などにも投資実績があります。

 こうした中で、MBKはスシローの韓国などアジアにおける回転寿司市場の成長性に着目しているのではと推測できます。一部報道で買収観測が浮上したことに対して、当のスシローは「当社といたしましてはそのような事実は一切確認いたしておりません」と否定するコメントを出しました。買収の真偽は不明ですが、MBKは韓国や香港に拠点を持つだけに、今後アジア展開を強化するにはスシローにとって悪くないパートナーといえそうです。

 もし韓国ファンドによる買収が実現すれば、日本人にとっても身近な旅行先の韓国でスシローをお目にかかることも増えるかもしれません。日本食の海外への普及にもプラスとなりそうです。

取材・文:M&A Online編集部