事業承継」と「事業継承」、どちらを使えばよいのか?

 では、「経営者から後継者に事業を受け継ぐこと」は、「事業承継」と「事業継承」、どちらの言葉を使用したらよいのでしょうか。

 後継者に会社を引き継ぐには、経営、税務、法律、労務、相続など多方面に問題が生じる可能性があります。それらの問題解決には、株式の移転や税金対策は税理士、事業承継に関する紛争問題の解決は弁護士、役員慰労退職金規程の作成は社会保険労務士、会社登記の代表者変更手続きは司法書士、事業計画の策定や後継者教育は中小企業診断士など、様々な専門家の協力が必要となります。

 また、最近では第三者へ事業を承継するM&Aもさかんに行われています。お相手(譲渡先)を探し、M&A全般を取り仕切るM&A仲介会社に依頼したり、国の支援機関である「事業引継ぎ支援センター」が窓口となるケースも増えています。

 問題解決のための相談内容が資産や税金対策に集中する場合は「事業継承」の言葉が適しているかもしれませんが、上記にある説明のとおり、近年は、人(経営)や知的資産の承継が重視されていることに加え、法律用語や税制の呼称に「承継」の文字が使用されているから、一般的には「事業承継」の言葉を使用するのがよいでしょう。

文:中小企業診断士 和田 純子/編集:M&A Online編集部