コナミ・セントラル・ルネサンス…コロナで総崩れ、スポーツクラブ3月期決算

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コナミスポーツ(都内の店舗)

スポーツクラブ大手の2021年3月期決算は記録的な業績悪化に見舞われた。新型コロナウイルス感染拡大で売上高が前年度比30~40%ダウンし、過去最大規模の赤字転落が続出した。新年度入り早々の4月末に発出された3度目の緊急事態宣言は対象地域を追加して現在延長・継続中であることから、先行きの展望もまったく開けない状況だ。

コナミスポーツ、営業赤字295億円

スポーツクラブは新型コロナウイルス感染防止に向けた最初の緊急事態宣言を受け、昨年4月、5月に一斉に臨時休業。6月から営業再開したが、感染症不安の高まりを背景に、入会者の減少と退会者・休会者の増加に歯止めがかからず、これが会費収入を直撃。さらに今年1月には2度目の緊急事態宣言(休業には至らず)が出るなど、会員の戻りが鈍いまま3月期末を迎えた。

業界最大手のコナミスポーツ(コナミホールディングスのスポーツ事業部門)は売上高38%減の364億円、営業損益が295億円の赤字(前期は60億円の赤字)だった。休業期間中の固定費など43億円に加え、減損損失・閉店コスト193億円などを計上し、営業赤字が300億円近くに膨らみ、その額は売上高にも迫った。

コナミスポーツは閉店数が際立ち、2月末の9店舗に続き、5月末に16店舗を閉店する。今年だけで全店舗(直営店舗)の約15%を廃止する計算だ。

ルネサンス、34店舗で減損処理

専業上場2社のセントラルスポーツ、ルネサンスも大苦戦した。売上高を3割以上落とし、最終赤字に転落した。ルネサンスでは会員数が20%減り、フィットネス部門の入会者は半減したという。

そのルネサンスの最終赤字87億円には5月末に閉店する2店舗(東京都、兵庫県)と稼働中の34店舗についての減損損失約38億円を含む。一連の措置で2022年3月期は6億円の減価償却費改善などを見込む。

ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)も保有資産(全169店舗、うち24時間型110店舗)の収益性低下に伴い多額の減損損失の計上に迫られた。最終赤字は179億円と、営業赤字の2.7倍に拡大した。

東海地区を地盤としてホリデイスポーツをはじめ、ホテル・不動産を展開するのが東祥。同社のホリデイスポーツの部門営業利益は5億5000万円と、86%の大幅減益ながら黒字に踏みとどまった。店舗運営を見直し、会員数減でも単月黒字化を達成したという。

業績回復へ今期も険しい道のり

3度目となる緊急事態宣言は5月16日から北海道、岡山県、広島県が追加され、9都道府県に広がった。なかでも大型商業施設の休業要請が継続された東京都、大阪府のスポーツクラブは1年ぶりの臨時休業の真っ最中。

各社とも2022年3月期に業績回復を期すが、その滑り出しで立ち往生を余儀なくされている。長期化するコロナ禍の出口がなお見通せない中、険しい道のりを覚悟せざる得ない状況だ。

◎スポーツクラブ大手の2021年3月期業績(単位億円、▲は損失)

売上高 営業利益 最終利益 店舗数
コナミスポーツ 364(38%減) ▲295(ー) 168
セントラルスポーツ 360(32%減) 8.7(77%減) ▲23(ー) 179
ルネサンス 302(32%減) ▲46(ー) ▲87(ー) 103
ティップネス 206(42%減) ▲65(ー) ▲179(ー) 169
スポーツオアシス 138(26%減) 37
メガロス 115(27%減) 50
ホリデイスポーツ 114(41%減) 5.5(86%減) 101

※コナミスポーツはコナミHD、スポーツオアシスは東急不動産HD、メガロスは野村不動産HD、ホリデイスポーツは東祥の部門業績。店舗は直営施設。

文:M&A Online編集部