スポーツクラブが売り上げ激減、コロナで身の細る思い

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記録的な売り上げ減に見舞われたスポーツクラブ(写真はコナミスポーツの都内の店舗)

スポーツクラブ大手の2020年4~6月期(第1四半期)決算は前年同期を6割から8割近く下回る記録的な売り上げ減に見舞われた。新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業や営業時間の短縮が直撃し、本業のもうけを示す営業損益も赤字転落が続出した。

緊急事態宣言の解除を受け、6月から一斉に営業を再開したものの、スタジオレッスンの利用人数が制限されるなど変則営業が続き、会員減に歯止めがかかっていない。今後のコロナ感染の状況次第では客足がさらに遠くおそれがあり、業績回復の道筋はいぜん見通し難だ。

コナミスポーツ、7割近い減収に

コナミホールディングス(HD)傘下のスポーツ事業(コナミスポーツクラブ)の4~6月期の部門業績は売上高が68.9%減の47億円、営業損益が64億円の赤字(前年同期は8億円の黒字)だった。

コナミスポーツは直営178店舗のほか、自治体などから受託する約200施設を運営する業界最大手。休業期間中の人件費など固定費を中心に新型コロナ感染症関連損失53億円を計上し、売上高を上回る営業赤字となった。

セントラルスポーツ、ルネサンスの専業大手も事情は同じだ。売上高の減少幅はセントラル60.5%、ルネサンス65.6%に上り、そろって営業赤字に転落。政府の緊急事態宣言と自治体による休業要請に伴い、4月から5月にかけてほぼ2カ月間、臨時休業や営業時間短縮を実施したことが理由だ。

 セントラル、売上高でコナミを逆転

セントラルは減収幅が比較的小さかったことから、四半期ベースながら今回、売上高でコナミスポーツを逆転し、トップに立った。セントラルの場合、運営受託店舗が67施設とコナミスポーツの約3分の1で、運営受託への依存度が低かったことが背景にあるとみられる。

「ホリデイスポーツ」を東海地区を中心に97店舗展開する東祥のスポーツクラブ事業の部門売上高は17億1700万円にとどまり、前年同期から66.5%落ち込んだ。

 4~6月期に売り上げを最も落としたのは日本テレビホールディングス傘下のティップネス。前年同期比77.7%減の20億5600万円に急降下する一方、営業赤字は22億円超に膨らんだ。メガロスを傘下に持つ野村不動産ホールディングスのフィットネス事業の部門売上高も72%減った(営業損益は非公表)。

退会者増と入会者減のダブルパンチ

スポーツクラブ各社にとって頭の痛い問題は何といっても会員減。6月の営業再開までに休会者や退会者が増加し、一方で入会者の激減というダブルパンチをまともに食らったからだ。当初の休会扱いから退会に切り替える会員も広がった。

ルネサンスの6月末の在籍会員数は35万5963人で、前年同期比13.9%と2ケタのマイナスとなった。セントラルは前年同期比約80%(フィットネス会員)とし、2割の顧客を失った形だ。

しかし、営業を再開したからといって、ただちに客足が戻ってくる状況にはない。会員の間にはコロナ感染の再拡大への警戒感が根強い。現に、日中の“ヘビーユーザー”だったシニア層の利用者はまばらだ。

通常営業はほど遠く…

また、集客源であるスタジオ系レッスンは数がぐっと減ったうえ、密を避けるため、参加者人数が制限されるなど、通常営業にほど遠い。人気レッスンでは整理券や予約券の争奪戦が繰り広げられ、会員にとっては思わぬストレスとなっている。

コロナ禍の出口が見えない中、スポーツクラブ各社は2021年3月期通期業績について予想困難としている。外出自粛や運動不足でコロナ太りに悩む人が少なくないが、当のスポーツクラブ各社にとっては財務体力がどこまで耐えられるのか、身の細る思いが続きそうだ。

◎スポーツクラブ大手の2020年4~6月期業績(単位億円、カッコ内は増減率、△はマイナスまたは損失)

売上高 営業損益 店舗数
コナミスポーツ 47(△68%) △64(-) 178
セントラルスポーツ 53(△60%) △1.6(-) 180
ルネサンス 38(△65%) △19(-)  98
ティップネス 20(△77%) △22(-) 173
メガロス 11(△72%)  33
ホリデイスポーツ 17(△66%) △0.59(-)  97

※コナミスポーツはコナミHD、ホリデイスポーツは東祥、メガロスは野村不動産HDの部門業績に基づく。店舗は直営店舗。

文:M&A Online編集部