スポーツクラブ大手、売上高「4割減」で最終コーナーに突入

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コナミスポーツの店舗(東京都府中市)

スポーツクラブ大手の2020年4~12月期決算が出そろった。全体として回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない中、会員数の戻りが鈍く、売上高は前年を4割前後下回る。年明け後は2度目の緊急事態宣言が減収減益要因として立ちふさがり、2021年3月期の通期業績は大幅赤字への転落が続出する情勢だ。

会員減が止まらず、売上の回復力が鈍く

スポーツクラブ各社は緊急事態宣言と重なった第1四半期(昨年4~6月)に施設休業や営業時間短縮などの影響で7割前後の記録的な売上ダウンに見舞われた。宣言解除後の6月から全店舗の営業を再開した。しかし、会員動向については新型コロナ禍による入会者の減少、退会者・休会者の増加が続いている。

12月末時点の会員数はセントラルスポーツが前年比18%減、ルネサンスが同19.8%減となっている。ルネサンスの総会員在籍数は約33万3300人で、9月末より約6000人減り、落ち込みに歯止めがかかっていない。

各社の4~12月期の売上高をみると、ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)の前年比47%減を筆頭に、マイナス幅は大部分が40%台から30%台。東急スポーツオアシス(東急不動産ホールディングス傘下)は唯一、落ち込みが30%以内にとどまった。

各社とも前年比のマイナス幅は4~9月期(中間決算)末時点より最大8ポイントから4ポイント改善しているが、力不足の感は否めない。会員数の減少は会費収入を直撃し、ショップなどでの売り上げも減るという悪循環を招いているのが実情だ。

コナミスポーツ、営業赤字が83億円

売上高の大幅減を反映し、本業の儲けを示す営業損益はコナミスポーツ(コナミホールディングス傘下、スポーツ事業部門)が83億円、ティップネスが46億円、ルネサンスが33億円の大幅赤字を計上した。セントラルスポーツは2億4000万円の営業黒字を確保したが、新型コロナ関連で31億円の特別損失を計上し、29億円近い最終赤字となった。

各社は引き続き不採算店舗の撤退など含めてコスト構造の見直しにアクセルを踏み込むことになりそうだ。ホリデイスポーツを中部地区を中心に展開する東祥は昨年4月以降、予定通りに7店舗を出店し100店舗の大台に乗せたが、当面は既存店舗の収益力回復に経営資源を集中するとしている。

春の入会キャンペーンもままならず

セントラルスポーツ、ルネサンスの専業上場2社は2021年3月期の通期見通しを公表している。セントラルは売上高31%減の365億円、営業赤字4億円(前年同期は38億円の黒字)、ルネサンスは売上高29%減の320億円、営業赤字40億円(同32億円の黒字)とする。

ただ、両社はいずれも年明けに緊急事態宣言が再発令される以前の予想を据え置いていることから、新型コロナの感染状況次第で、業績の下押し圧力が強まる可能性がある。

本来であれば、ラストスパートをかけるはずの第4四半期(1~3月)だが、春の入会キャンペーン展開もままならず、スポーツクラブ各社とって切歯扼腕の日々が続きそうだ。

◎スポーツクラブ大手:2020年4~12月期業績(単位億円、△は損失)

売上高 営業損益 店舗数
コナミスポーツ 259(44%減) △83(-) 176
セントラルスポーツ 257(37%減) 2.4(92%減) 181
ルネサンス 214(38%減) △33(-) 102
ティップネス 148(47%減) △46(-) 175
東急スポーツオアシス 104(28%減) 37
ホリデイスポーツ 84.6(44%減) 101
メガロス 80(36%減) 50

※コナミスポーツはコナミHD、東急スポーツオアシスは東急不動産HD、ホリデイスポーツは東祥、メガロスは野村不動産HDの部門業績に基づく。店舗数は直営店舗。

文:M&A Online編集部