総合商社の双日<2768>は2024年7月末に、米国の中西部を中心にすしのテイクアウト事業を展開するSushi Avenue(ミネソタ州)から全事業を譲り受けた。
今後、子会社で水産食品加工を手がけるマリンフーズの米国法人MFアメリカ(オレゴン州)とともに、新しいすしネタを盛り込んだ商品開発に取り組む。
すでに双日は2024年3月に、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス<8179>、すしチェーン店「すし銚子丸」などを展開する銚子丸<3075>とともに合弁会社SUSHI-TEN USA(カリフォルニア州)を立ち上げ、米国でのすしの新業態の開発に乗り出している。
これら事業が軌道に乗れば、米国でのすし事業が一気に拡大しそうだ。
Sushi Avenueは、米国の20州以上のスーパーの総菜売り場に出店し、店内で調理した新鮮なテイクアウトすしを販売している。
スーパーごとのオリジナル商品(プライベートブランド)の開発も行っており、消費者のニーズに合わせた商品開発に強みを持つという。
Sushi Avenueのホームページでは「スーパーマーケット、大学、病院、空港、企業のカフェテリアなど、さまざまな場所に専門的に訓練されたシェフを派遣し、毎日新鮮なすしを調理する」としている。
米国では近年、すしが学校の食堂で提供されるなど、一般化が進んでおり、市場規模は日本の約1.6倍と言われる。
双日ではすしの定着に伴い、人気ずしであるカリフォルニアロールに加え、握りずしの需要が増え、水産物に対する種類と質のニーズが高まると見て、すし事業への参入を決めた。
双日は従来から、マグロの養殖事業や加工事業、水産物卸売事業などに取り組んでおり、2022年に水産食品加工のマリンフーズを、2023年に冷凍マグロ加工のトライ産業をグループ化し、調達力、商品開発力を強化してきた。
こうした水産加工品の調達力と提案力をかけ合わせ、「すしを起点とする水産食品のバリューチェーン(価値連鎖)拡大を目指す」としている。
一方、合弁会社のSUSHI-TEN USAは、米国西海岸を起点に事業活動を行っており、同エリアで現地の嗜好を確認しながら、すしを中心とする新業態の創出を目指している。
ロイヤルホールディングスが34%を、銚子丸と双日がそれぞれ33%を出資しており「単独では成し得ない新たな価値を創造することを目指す」という。
双日は、フードバリューチェーン構築を戦略的強化領域としており、米国の中西部を中心とするSushi Avenueと、西海岸を中心とするSUSHI-TEN USAが連携することで、新しい価値が生み出される可能性は小さくはなさそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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