ソフトウエア業界で「買いたたき」や「中抜き」の実態が明らかに

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ソフトウエア業界で「買いたたき」を経験したことのある企業が15.7%存在し、「中抜き」事業者の存在を感じたことのある企業も25.9%に達していることが分かった。

公正取引委員会が2021年10月から2022年6月の間に、事業者2万1000社(資本金3億円以下)を対象にしたアンケート(4739社から回答)や、10社(同)へのヒアリングなどを実施したところ、こうしたソフトウエア業界の実態が明らかになった。同様の調査は18年ぶりという。

同委員会では、DX化の流れを支えるソフトウエア業界で「買いたたき」や「仕様変更への無償対応要求」といった違反行為の存在を懸念しており、今後「優越的地位の濫用が疑われる事案に対しては、優越Gメンによる立入調査を実施するとともに、関係事業者に対しては、具体的な懸念事項を明示した文書の送付を行う」としている。

買いたたきで半値に

「買いたたき」のほかに、違反行為に当たると思われる内容は「不当な給付内容の変更」(経験のある企業の割合は14.2%)、下請け代金の減額(同13.5%)、受領拒否(同9.6%)、不当なやり直し(同8.1%)、支払遅延・不払い(同7.4%)などがあった。

「買いたたき」は、下層に行くほど、受注金額が低くなる現象で、今回、実際の事例として「元請け事業者→当社の取引と思っていたところ、後から、元請け→元請け子会社→元請け子会社の関連会社→当社の商流となり、当初元請け事業者に提示した見積額を100とすると、最終的な契約額は50まで値下げさせられた」という報告あったという。

一方「中抜き」は、実際に業務を行わないのに利益を上げている事業者を指し、今回の調査では「中抜き」事業者の存在を感じたことのある企業は、元請けで18.5%だったのに対し、中間下請けでは29.2%に、最終下請けでは33.5%に達した(平均は25.9%)。

独禁法や下請法の知識が不足

さらに独占禁止法や下請法の知識について聞いたところ、「どちらともいえない」「どちらかと言えばあまり知らない」「ほとんど知らない」「今回のアンケートで初めて知った」と回答した企業が49.0%に達し、ソフトウエア業界で独占禁止法や下請法に関する知識が不足している実態も浮かび上がった。

総務省・経済産業省の経済構造実態調査によれば、2020年のソフトウエア業界の事業所数は2万5977カ所で、従業者数は83万7606人だった。

文:M&A Online編集部