シンプレクス・ファイナンシャル・ホールディングス、アジアNo.1の資産運用会社を目指す|【東証PRO】

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シンプレクス・ファイナンシャル・フォールディングスが本社を構える新丸の内ビル(写真左。y-studio /iStock)

シンプレクス・ファイナンシャル・ホールディングス(HD)<7176>は、2015年1月に東京プロマーケット(TPM)に上場した資産運用業の持ち株会社である。傘下には次の4社がある。

完全子会社のシンプレクス・アセット・マネジメント(東京都千代田区)、シンプレクス・アセット・マネジメントカンパニー・リミテッド(香港)の両社を中核とし、関連会社としてシンプレクス・インスティテュート(東京都港区)、ストームハーバー証券(東京都港区)を抱える。

このうち、シンプレクス・インスティテュートは独自開発した投資シミュレーション・システムを活用し、主に投資教育サービスを手がける。またストームハーバー証券は2019年11月にグループ入りして比較的日が浅い。

国内ヘッジファンドの草分け

シンプレクス・ファイナンシャル・HDの水嶋浩雅社長は日興シティグループ証券、日興ソロモン・スミスバーニー証券などを経て独立した。1999年に国内ヘッジファンドの草分けとされるシンプレクス・アセットマネジメントを立ち上げた。2006年に現在のシンプレクス・ファイナンシャル・HDを設立した。ETF(上場投資信託)事業を展開し、ファンドの運用成績などを評価される。

同社が運用する「シンプレクス・ジャパン・バリューアップファンド」が「R&Iファンド大賞2021」で最優秀ファンド賞(投資信託10年/投資信託部門)を受賞するなど、ヘッジファンドの世界では一目置かれる存在になった。顧客は機関投資家が多く、国内では年金基金や金融機関を、海外では資産家・富裕層を主な顧客とする。

強みは独立系の運用会社であること。既成の大手金融グループのしがらみがないぶん、自由な商品開発ができる。また、顧客の多くは機関投資家などプロであるため、運用に関する理解度が高く、運用がしやすい利点もある。何よりも適正規模での運用を心がけている。

一連の業務はガバナンスの効いたプラットフォームで展開する。会計監査、ファンド監査、会社監査のほか、米国公認会計士協会(AICPA)が定めたアウトソーシングサービスなどの受託業務を行う会社の内部統制基準「SSAE16」による監査を受けている。

TPMへの上場は、こうしたプラットフォームの適正さを強化するという意味があった。

量より質でアジアNo.1の資産運用会社に

業績は堅調に右肩上がりを続けている。2021年3月期末の運用資産残高は前期末比36.2%増の9963億円。運用資産残高に基づく基本報酬は同23.7%増の51億8700万円。

成功報酬は同168.9%増の68億5500万円と大幅に増えたことから、売上高にあたる営業収益は同79.0%増の120億6500万円と100億円ラインを一気に突破した。営業費用などを差し引いた営業利益は同179.9%増の63億2000万円だった。

2015年1月のTPMへの上場当初、5000億円前後だった運用資産残高は今や2倍近い。規模拡大よりパフォーマンス向上を目指してきたが、良好なパフォーマンスが規模拡大を呼び込む好循環となっているようだ。

目標はアジアNo.1のアセットマネジメント会社。東京・香港を軸に、質の高さでアジア全体への展開をねらっている。

文:M&A Online編集部