いよいよ発表される「iPhone12」は「買い」か「待ち」か

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米アップルが2020年10月13日午前10時(日本時間14日午前2時)、新型のスマートフォン「iPhone12」シリーズを発表する。今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で生産が滞り、例年よりも1カ月遅れの発表となった。

CPUは全機種「問題なし」

「iPhone12」シリーズは同社では初めて第5世代移動体通信規格(5G)に対応し、従来の3モデルに小型機の「mini」が追加されるなど、久々の大幅なモデルチェンジになる。それだけに「買い」の一手との見方が強いが、一方で「まだ過渡的なモデル」との予想もある。

「買い」か「待ち」かは、新製品のスペック次第。どの水準に達していれば「買い」なのか?現行モデルの機能と比較して「合格点」のレベルを探ろう。

現行モデルとの比較で間違いなく変更されるのは、CPUと通信方式だ。CPUは9月に発表し、まもなく販売が始まる「iPad Air」と同じ「A14 Bionicチップ」が全機種で採用される。通信方式も全機種で5G対応となりそうだ。

新モデルと対応する現行モデル一覧(スペックは現行モデル)

新モデル Phone12 Pro Max iPhone12 Pro iPhone12 iPhone12 mini*
対応する現行モデル iPhone11 Pro Max iPhone11 Pro iPhone11 iPhone SE(第2世代)
CPU A13 Bionicチップ
通信方式 4G LTE
ディスプレー 6.5インチ/有機EL 5.8インチ/有機EL 6.1インチ/液晶 4.7インチ/液晶
記憶容量 64GB
256GB
512GB
64GB
128GB
256GB
64GB
128GB
256GB
背面カメラ 超広角、広角、望遠 超広角、広角 広角
カメラ画素数 1200万画素
最低価格(税別) 11万9800円 10万6800円 7万4800円 4万4800円
*iPhone12 miniは新規モデル。参考のため最もコンセプトが近いiPhoneSE(第2世代)を挙げた。

「5G対応」だからと安心はできない

CPUについては何の問題もないが、5G対応については注意が必要だ。5Gには現時点で2つの規格がある。一つは「ミリ波」(mmWave)、もう一つが「サブ6GHz」だ。ミリ波は超高速通信を実現するものの波長が短いために直進性が強く、建物などの障害物にさえぎられて電波の届く範囲が狭い。

一方、サブ6GHzはミリ波に比べると波長が長いために電波は届きやすいが、通信速度はLTEより少し速い程度だ。そのためサブ6GHzは「なんちゃって5G」とも揶揄されている。「iPhone12」シリーズの全モデルあるいは下位モデルの「iPhone12」や「mini」ではサブ6GHzのみの対応に留まる可能性がある。

せっかくの5Gが低速のサブ6GHzしか使えないとすれば、買い替えを急ぐ必要はない。2021年に発売する「iPhone13」シリーズでは全モデルがミリ波にも対応する可能性が高く、「待ち」が賢明な選択だろう。

カメラ画素数が1200万画素のままなら「待ち」

iPhoneの競争力はカメラ性能にも依存している。「iPhone12」シリーズの背面カメラについてはトリプル(超広角、広角、望遠)またはダブル(超広角、広角)のまま変わらないだろうが、画素数に注目したい。久々に2400万画素へアップグレードされる可能性が高いからだ。

画素数がすべてではないが、iPhoneの背面カメラが1200万画素となったのは2015年9月に発売された「iPhone6s」からで、すでに5年を経過している。ライバルのアンドロイドOS端末ではサムスン「Galaxy S20 5G」が最大6400万画素、シャープの「AQUOS R5G SH-51A」が同4800万画素のカメラを搭載しており、さすがにスペック不足は否めない。2400万画素になっていれば「買い」、1200万画素のままなら「待ち」だ。

背面カメラの画素数も「iPhone12」シリーズの注目ポイントだ(Photo by DMCA

文:M&A Online編集部