拡大する「NFT」ホルモンの食樂や、婦人下着のワコールにも

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写真はイメージです

飲食店の支援や、街づくりなどに、NFT(非代替性トークン)を活用する事例が現れてきた。フォーイット(東京都渋谷区)とメディアエクイティ(東京都品川区)は、コロナ禍で厳しい状況にある飲食店を対象に、メニューをNFT化した「スポンサーNFT」を発行した。

ワコールホールディングス<3591>、SMBC日興証券(東京都千代田区)、ハタプロ(京都市)の3社は共同で、京都市内の高校生や大学生が未来の京都の空間やコンテンツをイメージしたNFTアートを作成し、世界に向けて展示、販売する活動「NEO KYOTO NFT ARTs」に乗り出した。

NFTはブロックチェーン上で取り引きされる複製のできない画像や音声などのデータのことで、近年高額で売買されるケースが増え、注目度が高まっている。今後ますますNFTが身近な存在になっていきそうだ。

NFTの転売で利益も

フォーイットとメディアエクイティが発行した「スポンサーNFT」は、岩手県、宮城県、福島県で15 店舗(2022年6月時点)を展開するホルモン食堂「食樂」の、しろ(豚ホルモン)や、カルビなどのすべて異なる1点物メニューのNFT25個で、食樂のファンやNFTに興味を持つ人たち向けに販売する。

NFTを購入すると、食樂の15店舗全店全席に掲示されるスポンサーNFTのQRコードからアクセスできるページに、スポンサーである購入者の名前が表示されるほか、スポンサーNFTを転売することも可能。

食樂が注目を集め購入希望者が増えると、スポンサーNFTの価値が高まるため、転売益を得ることができる。また転売するたびに転売額の最大10%が食樂に還元されるため、飲食店支援にもつながる。

フォーイットは、広告効果を最大化するマーケティング活動や、インターネット広告などを手がける企業で、メディアエクイティは、簡単にイラストや画像などのNFTを発行して販売できる「HEXA(ヘキサ)」を運営している。

アートと融合したクリエイティブな街づくり

ワコールホールディングス、SMBC日興証券、ハタプロの3社が立ち上げた「NEO KYOTO NFT ARTs」は、アートと融合したクリエイティブな街づくりが狙いで、販売収益の一部は京都市に寄付される。学生らは、今後約3カ月間かけてアート作品の作成に取り組む。

3社では歴史や文化の街として人気の高い京都を、アート作品という形で世界に向けて発信することで、次世代の外国人旅行者を呼び込めると見ている。

ワコールホールディングスは、2013年にトライ推進支援室(現:未来事業開発室)を設立し、これまでに宿泊事業などで新たな価値の創出に取り組んできた。SMBC日興証券は、オープンイノベーションチーム「Funder Storm」を介して、地方創生や街づくり人材の育成などを推進している。ハタプロはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの先進技術を活用して大企業との共同開発や、地方自治体との合弁会社設立などの事業を展開している。

文:M&A Online編集部