新型コロナの「国産ワクチン」実用化に向け一歩前進

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新型コロナウイルス用の国産ワクチンの実用化が一歩一歩前進している。塩野義製薬<4507>、第一三共<4568>、KMバイオロジクス(熊本市)アンジェス<4563>の4社が先行しており、早ければ2022年にも使用できる見通しだ。各社の最新の動きを見てみると。

塩野義は2022年3月までに実用化

塩野義製薬は2021年10月21日に、第2/3相臨床試験を始めた。安全性と有効性を確認する第2段階の試験で、2021年中に最終段階の第3相臨床試験も始め、2022年3月末までの実用化を目指す。

同社は、アジュバント(ワクチンの効果を補強する物質)を変更した新製剤の第1/2相臨床試験を8月に開始。現在までに忍容性(耐えうる副作用の程度)が確認でき、安全性についても大きな問題はなかったことから、次の段階である第2/3相臨床試験に移行した。

規模を拡大する今回の第2/3相臨床試験を踏まえ、さらに大規模な第3相臨床試験に進む予定で、現在承認申請に向けて、厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構などと協議を行っているという。

第一三共も10月21日に、3月に始めた第1/2臨床試験の結果を発表した。それによると、新型コロナウイルスの感染を防ぐ抗体が増えていることが確認できたほか、安全性ついても大きな問題はなかった。

同社では11月から第2相臨床試験を始め、2022年3月までに第3相臨床試験に入る予定で、2022年度中の実用化を目指すという。

KMバイオロジクスは2022年度中

明治ホールディングス<2269>傘下のKMバイオロジクスは9月21日に、3月に開始した第1/2相臨床試験の結果を発表し、忍容性が確認でき、副反応も想定を超えるものではなかったとした。

この結果を踏まえ、同社では当初2023年度中としていた実用化の時期を1年前倒しし、2022年度中に変更した。

当初先行していたアンジェスは8月17日に、感染防止効果を高めるため高用量製剤での試験に切り替えた。現在は第1/2相臨床試験を行っている段階で、実用化の時期は4社の中では最も遅くなる可能性がある。

文:M&A Online編集部