【中小企業のM&A】節税対策は会社を売却するときにどう評価されるのか

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節税対策は会社を売却するときにどう評価されるのか

以前の記事で、企業価値を評価する方法に「絶対的な方法はない」というお話をしました。例えば節税対策をするときと、M&Aで第三者に会社を売却(譲渡)するときでは、”同じ会社でも”評価方法が異なるのです。

ほとんどの中小企業は、なるべく不要な税金を払わなくても済むように、交際費の活用、役員報酬による調整、節税タイプの金融商品(保険など)の購入など、節税対策を行っています。

このように、見かけ上は利益が出ていないことになっている会社が実際にM&Aを行う場合でも、「節税をしなかったらその会社の財産状況や収益力の実態はどうなっているのか」という視点で評価をします。

税金対策は2つの分類がある

大雑把に言って、税金対策には
税額そのものの発生を抑えるものと、
税金の支払時期を先送りにする
という2つの方法があります。

①では交際費の活用などのほかに、「税額控除」を使うことで税金を安くするという方法があります。これは国が指定する設備などを購入した企業が税額を安くできるという制度です。

②では「特別償却」という制度があります。税額控除と同じように、国が指定した設備などを導入した企業が早めに経費処理できるようにする制度です。

税額控除と何が違うかというと、税額控除では税金そのものを安くすることができるのに対し、特別控除は設備投資した年の経費は増えても、翌年度以降の経費が減ります(トータルは同じです)。

税金の支払時期が遅くなれば資金繰りが楽になりますので、中小企業にとっては大きなメリットとなります。

さて、適正な範囲での節税ならば会社を売却(譲渡)する際にも、特に問題にはなりません。しかし、度が過ぎると実際の収益がつかみにくくなり、買いたいと思う企業が不信感を抱いてしまうこともあります。会社の譲渡を検討する場合には、「節税のワナ」に陥らないよう、気を付けましょう。

まとめ

・中小企業の経営において「節税対策」は非常に重要です
・M&Aの評価では、節税対策がされなかった場合の「正味の会社の実力」に着目して評価を行います
・節税対策が必要なのは「優良企業の証」です。だからこそ度が過ぎて実際の収益がつかみづらくなる「節税のワナ」に陥らないようにしよう

文:M&A Online編集部