2016年12月21日、セグエグループ<3968>が上場した。傘下にはネットワークセキュリティ専業のジェイズ・コミュニケーションほか、ジェイズ・テレコムシステム、ジェイシーテクノロジー、ジェイズ・ソリューションがある。
今回は、2012年11月にジェイシーテクノロジーを合弁会社設立した経緯や意図について、セグエグループの代表取締役社長である愛須康之社長とCLINKSの河原浩介社長よりお話を伺った。
2012年11月、情報セキュリティシステムを手掛けるジェイズ・コミュニケーションとITアウトソーシングやエンジニア派遣を手掛けるCLINKSは、 共同で、ITエンジニアサービス事業を目的とするジェイシーテクノロジーを設立した。
愛須社長:弊社は以前から、ITエンジニアサービス会社と業務提携したいとM&Aの専門家に相談をしていました。そんな折に、CLINKSという会社があるので会ってみてはどうかとお引き合わせいただいたのが始まりです。
後でわかったことですが、実はCLINKSさんも自社の業務を拡大するに当たり、パートナーとなる企業を探しているので紹介して欲しいと、同じ専門家に相談していたそうです(笑)。
弊社としては、新しい事業を我々で立ち上げるとしたら、何もないところから始めなければならない。もし優秀な事業部長クラスを一人採用したとしても、組織をゼロから作り上げていくことは時間もかかり、難しいですよね。今回の立ち上げにおいては、CLINKSさんから複数の経験者が弊社に来てくださり、ビジネスモデルやノウハウだけでなく、チャレンジスピリッツに溢れた企業文化までも持ち寄ってくださった。設立後、それがとても大事なことだったのだと気付きました。とても弊社だけでは設立できなかったと思います。
河原社長:実は、ITエンジニアサービス事業は、競合があまり発生しない業界なのです。というのも、IT業界がどんどん大きくなっているにもかかわらず、ITエンジニアの数が足りない。不足する人員を同業他社にお願いしたり、逆に弊社から人を提供して融通し合う、そんな背景がありました。
従って、ジェイシーテクノロジーでITエンジニアを採用・教育し、人材を確保すれば、CLINKSとしても他社と協業するよりもメリットがあるだろうと考えたのです。
今回の合弁会社設立のアイデアをM&Aの専門家に伝えたところ、ジェイズ・コミュニケーションさんを紹介してもらうことができました。
弊社の業績は順調に推移していました。しかし、それ以上を目指そうとすると、足かせになったのが資金力でした。人材採用や教育研修のノウハウについては自信がありますが、一気に事業を拡大しようとすると、人材採用のための思い切った投資が必要になります。弊社には人材採用と教育研修という強みがありますので、ジェイズ・コミュニケーションさんの資金力が組み合わさると、双方にメリットが生まれるのではないかと感じたのです。
河原社長:話がまとまったのは非常に早かったです。昨年の夏から協議を開始して、3カ月後の11月にはジェイシーテクノロジーを設立していました。愛須社長と意気投合して話がスムーズに進んだことが大きな理由だと思っています。時には飲みに行って、まだ名前も決まっていなかったジェイシーテクノロジーの将来を語り合ったりもしました。
立ち上げ時には、最初に双方の役割分担や目標を明確にしました。資金についてはジェイズ・コミュニケーションさんにお任せする一方で、現場のオペレーションについては我々にご一任いただいており、営業利益目標の達成に向けて邁進しています。慢性的に人が足りない事業分野なので、計画も前倒しで進んでいます。
愛須社長:立ち上げは順調すぎるくらいです。エンジニア派遣業において一番重要なのは人員の確保ですが、多くのエンジニアがジェイシーテクノロジーを職場に選んでくれています。将来的には、200名体制とすることを目標に据えています。
「今後、合弁会社設立を考える経営者の方々に一言アドバイスをお願いします。」
河原社長:双方のメリットを明確にすること、また相手との信用・信頼関係を築くことが重要だと思います。加えて、役割分担や目標を明確にしておくことも重要です。
愛須社長:ベンチャー企業にとって、既存事業をおいて新しい事業分野に挑戦することには困難がつきまといます。しかし、異なる経営資源を持つ会社と合弁会社を設立するというアライアンス形態は非常に有効です。
ただ、合弁相手となるパートナーが信頼できるかどうかが重要でしょう。トップ同士の信頼関係が構築できなければ、必ず問題が発生するはずです。ジェイシーテクノロジーが順調に設立までこぎつけ、事業展開スピードを加速できたのも、M&Aの専門家の紹介で河原社長というパートナーを得られたからこそだと思っています。
「本日は誠にありがとうございました。」
本記事は、M&A情報誌「SMART」 2013年7月号の記事を基に再構成しております。
編集:M&A Online編集部
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