キャッシュレス化の動きがまた一歩進んだ。SBIホールディングスはOrb(東京都港区)、グローリーと共同で2018年10月に、SBIホールディングスが発行するスマートフォン上でチャージや決済ができるコイン「Sコイン」の実証実験を始める。
仮想通貨技術の一つであるブロックチェーンと分散型台帳技術を用いたSコインプラットフォームを用いて行うもので、SBIグループ社員を対象として実施する。
SBIホールディングスではこの実験を通じて、決済分野でのブロックチェーンと分散台帳技術の可能性や有用性を研究し、キャッシュレス促進へとつなげていくとしている。
キャッシュレス化については三菱UFJ銀行などのメガバンクが前向きなほか、LINEや楽天なども積極的な動きを見せており、今後覇権争いが一気に加速しそうだ。
実験はSBIホールディングスが入居する東京・六本木の泉ガーデンタワー内の飲食店などで、キャッシュレスで支払いができる仕組みを構築する。
Sコインプラットフォームはブロックチェーン関連技術を用いた決済分野に詳しいOrbが提供する分散台帳技術「Orb DLT」を活用する。クレジットカードによるチャージのほか、グローリーの自動機によって、現金によるチャージを可能にする。
経済産業省によると、日本のキャッシュレス決済比率は現在20%ほどで、2025年までに40%にまで高める計画という。これに伴って、銀行をはじめ通販業者などが顧客の囲い込み策の一つとしてキャッシュレス化に向けた動きを活発化させている。
では実際にはどのような動きがあるのか。
三菱UFJ銀行は2018年10月ごろから、公共料金や通信販売などの払込票のバーコードを、スマートフォンで読み取ることで支払いができるサービスを始める。
同サービスはすでに、みずほ銀行や、りそな銀行、ゆうちょ銀行などが導入しており、現金輸送などにかかるコストを削減できるため、今後同様のサービスを取り入れる銀行は増加するものと思われる。
日本でのキャッシュレス支払いはクレジットカードが中心で、決済手数料が3%ほどと高いため、小規模な小売店や飲食店には普及していないのが実情。
LINEやヤフーは決済手数料を最長3年間無料にするサービスを打ち出しており、電子マネーや仮想通貨、さらには今回のSBIホールディングスのSコインなどが入り交じって、競争が激化するのは必至の情勢だ。
日本ではキャッレス化が遅れているため、市場開拓の余地は大きく、今後M&Aなどによる参入なども活発化しそうだ。
文:M&A Online編集部