コロナ禍で無くなる外食、中食、内食の垣根「SARAH」が企業買収で事業領域を拡大

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写真はイメージです

飲食店のグルメコミュニティーアプリ「SARAH」を運営するSARAH(東京都千代田区)は、飲食店(外食)に加え、持ち帰りや配達(中食)、家庭で作る料理(内食)にまで事業領域を拡大する。

食品の口コミサイト「もぐなび」などを運営するEat Smart(東京都港区)を子会社化することで領域拡大を実現するもので、同社のグループ入りで、SARAHのもう一つの柱である外食のデータ分析サービス「FoodDataBank」のデータ保有量は2倍以上に拡大する。

コロナ禍の中、持ち帰りや配達需要の増加などに伴い、外食、中食、内食の垣根がなくなりつつあることを踏まえ、企業買収に踏み切った。

SARAHの主要株主には講談社、ハウス食品、三井物産、セブン-イレブン・ジャパンといった大企業が名を連ねており、ハウス食品とはレトルトカレーのコラボ商品を販売している。事業領域が広がることで、コロナ後を見据えた新たなコラボが進みそうだ。

Eat Smartの全株式を取得

Eat Smartは「もぐなび」のほかにも、食事の栄養管理機能付きの健康管理日記サイト「イートスマート」や、服部栄養専門学校が監修した簡単で美味しくヘルシーなダイエットメニュー情報が得られるスマホサイト「服部先生の1週間ダイエットレシピ」、全国の料理教室が検索できるサイト「クスパ」などを運営している。

個人向けに家庭料理やコンビニ、外食メニューのカロリーと栄養成分が分かるデータベースや、日記形式で体重、体脂肪の記録、食事、運動記録などが行えるシステムなどを、法人向けには食品、飲料メーカーを対象に、商品プロモーションやマーケティング支援サービスを提供している。

SARAHは2022年4月30日に、Eat Smartの全株式を取得し子会社化したことで、これまで飲食店中心だった事業が、家庭料理や総菜などにも広がることになる。

幅広いニーズへの対応が可能に

SARAHは2014年設立のベンチャーで、大手企業などから7億円を超える資金を調達して事業を展開している。同社が運用する「SARAH」では、人気のメニューランキングや、各ジャンルを極めたグルメマスター、レストランのおいしい一皿を表彰するメニューアワードなどがある。

また「SARAH」内の膨大なグルメレビューの評価などを活用した外食データ分析サービス「FoodDataBank」では、飲食店向けに食品の企画やマーケティングの支援を行っている。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、持ち帰りや配達などの需要が拡大しているところに、冷凍食品の進化なども加わり、今後、今回のケースのような外食、中食、内食すべてに対応できるようなサービスが増加しそうだ。

文:M&A Online編集部