12月25日の日経MJ、毎回興味深く読ませていただいている月刊ロジスティクス・ビジネス編集発行人、大矢昌浩さんの物流インサイドリポートより。
物流効率を前提に家具のデザインを考えるIKEA(イケア)の話は大変興味深いです。
同社は「空気を抜いて、製品を詰めろ」をキーワードに 1200mmx800mmの「フラットパック」ダンボールに一切無駄な空間ができないようなパーツの組み合わせになるようにあらゆる家具をデザインすることをポリシーとする。
もちろん、そのフラットパックのサイズは世界一のホームファッションストアIKEAが原産国の工場から世界の店舗まで国際物流に使われるパレットにもっとも効率よく積上げられる形を追求した結論というわけです。
しかし、この宅配には不向きなフラットパックサイズへのこだわりが 同社のEコマースへの対応を後手に回らせたことは否めない、既存のサプライチェーンの完成度の高さから変革は容易ではないのでは?というコメントで記事を結んでいます。
物流効率と言えば・・・ 私が「ユニクロ対ZARA」(日経新聞出版社)の執筆のためにスペインのZARAを取材した時も思い知らされましたが・・・
物流コストって空気を運ぶことを前提に計算されているコストであって・・・チャーター便を「行きも帰りも」(生産国からスペイン倉庫、スペイン倉庫から世界の店舗)とも満載にし、空間を作らず限りなく100%に近い「密度」を徹底的に突き詰めれば、そのコストは格段に安くなること・・・
ZARAが世界の店舗に空輸を使っても、あの低価格を実現していることの理由のひとつを聴かされた時に大いに納得したものでした。
IKEAやZARAの物流に対する考え方を聴くと・・・
それほど巨大な企業でなくても、多くの流通企業はまだまだサプライチェーンの無駄を洗い出し、顧客のためにコストを削減してリーズナブル価格を実現できる方策があるのではないかと思い知らされますね。
IKEAの物流の話に戻りますが・・・
現在の工場から店舗への同社の完成度の高い物流に対し、これからは顧客への自宅までの完成度が問われる時代になり・・・ 世界の覇者である同社が何らかの新しい解を見いだすであろうことを期待すると共に・・・
一方で、Eコマース時代に宅配を前提とした物流効率のよいデザインやサプライチェーンを実現する新しい覇者が登場することも楽しみにしたいと思います。
これを実現した企業こそが次の流通革新の担い手となるかも知れません。
文:齊藤孝浩