「サンマルク」が喫茶マドラグを買収 コロナ後に向け攻勢に

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東京・日本橋のサンマルクカフェ

カフェやレストランを展開するサンマルクホールディングス<3395>が攻勢に転じる。同社はコロナ禍の中、不採算店の閉店や、サンマルクなどの主力事業を手がける子会社3社を吸収合併するなどの対策を講じてきたが、2022年12月26日に「喫茶マドラグ」4店舗を展開するLa Madrague(京都市)の買収に踏み切る。

コロナ禍で業態の新陳代謝不足が経営課題の一つに浮上しており、今回の企業買収によって新たな業態を育成に注力することにした。こうした取り組みと併せて店舗の生産性向上やブランドの再構築なども進めることで、2026年3月期に売上高740億円(2022年3月期比55.1%増)、営業利益60億円(2022年3月期は35億円の赤字)を目指す。

同社はこれまでに適時開示したM&A案件はなく、今回のLa Madragueの買収は同社にとって事業拡大の新たな試みとなる。反転攻勢は吉と出るだろうか。

チェーン展開のノウハウを活用

サンマルクホールディングスが買収するLa Madragueの2022年3月期の売上高は1億4800万円で、営業損益は2700万円の赤字。200万円の債務超過に陥っている。

ただ運営する「喫茶マドラグ」は食べログ百名店に選ばれるなど、京都を代表する喫茶店ブランドとして知られており、再建は可能と判断した。

ベーカリーレストランのサンマルクや喫茶のサンマルクカフェなどで培ってきたチェーン展開のノウハウを活用しながら「喫茶マドラグ」の多店舗化に取り組み、事業を拡大する。

三つ目の喫茶業態に

サンマルクホールディングスはコロナ禍で採算の悪化した店舗の閉店を進めており、2023年3月期は出店25~35店に対し、閉店は50~60店を想定。その後についても不採算店舗の業態変更や閉店を進めるとしている。

また、同社は2006年に持株会社制に移行したが、コロナ禍で収益が悪化したため、2022年7月にベーカリーレストラン業態のサンマルクとバケット、すし業態の函館市場の3社を吸収合併し、事業開発部と併せてレストラン事業部として再スタートした。

こうした対策に加えて、新たにM&Aに取り組むことにしたわけで、今回の買収により喫茶事業としては1999年のサンマルクカフェ、2008年の倉式珈琲店に次ぐ三つ目の業態となる。

店舗数については当初、2022年3月期から2026年3月期までの5年間に、喫茶事業で75~90店を出店する一方で90~105店の閉店を予定していたが、「喫茶マドラグ」の多店舗化で出店が閉店を上回ることも予想される。

同社は2021年3月期、2022年3月期に2期連続で営業赤字に陥った。2023年3月期は当初黒字転換を見込んでいたが、原材料費や人件費などの高騰により営業損益をゼロに修正している。

2026年3月期の営業利益60億円の達成に、M&Aが少なからず影響を与えることは間違いなさそうだ。

文:M&A Online編集部