プラダ次期CEO、一族経営維持を表明
[バルビーニャ(イタリア) 25日 ロイター] - イタリア高級ブランド、プラダのパトリツィオ・ベルテッリ最高経営責任者(CEO)が後継者に指名した長男のロレンツォ・ベルテッリ氏はロイターのインタビューで、一族による経営を今後も維持していく考えを明らかにした。インタビューの全容は12月1日に開催する「ロイター・ネクスト」会議で配信される。
パトリツィオ氏は先週の投資家向け説明会でロレンツォ氏を正式に後継者に指名した上で、向こう3-4年で引き継ぎができるとの見通しを示した。33歳のロレンツォ氏は現在、プラダのマーケティング責任者を務め、デジタル事業拡大に従事。プラダの全売上高に占めるデジタル事業の比率は新型コロナウイルスのパンデミック前は2%にすぎなかったが、中期的に15%まで比率を高めることを目指している。
プラダは高級化路線を追求する経営立て直し戦略が実を結び、ライバルから魅力的な買収・合併相手としてしばしば挙げられるようになった。しかしロレンツォ氏は、一族で株式の8割を保有する同社を身売りするつもりはないと言い切った。
同族経営を維持したいかどうか聞かれたロレンツォ氏は「私の両親にとってそれは一考の余地があるが、私は絶対イエスだ。それ以外の方向は想定していない。私にはまだ長い道のりが残っていて、何事か成し遂げるべきだと思いたいからでもある。だから独立した立場でい続けたい」と語った。他のブランド買収について当面機会はないとしつつ、「明日のことは分らない」と述べ、完全には否定しなかった。
一方、主要ブランドのプラダとミュウミュウをアマゾン・ドット・コムで販売することについて、少なくともしばらくは可能性がないと発言。「われわれは傘下最小のブランドの1つ(カーシュー)で試してみた。現段階でアマゾンがより大きなブランドに対応する準備が整っているとは思えない。プラダとミュウミュウが今、アマゾンのプラットフォームにある図は見えてこない」と付け加えた。
プラダは先週、グループの営業利益率を中期的に20%に引き上げる目標を発表した。これは企業規模がもっと大きいルイ・ヴィトンやグッチ、あるいはプラダが絶頂期に記録した利益率である27%よりも低い。
それでもロレンツォ氏は、長期的にプラダの利益率も27%に戻ることはできると強調するとともに、同社は高すぎる目標を掲げて失望を誘うより、地に足のついた目標を設定して可能な時期にそれを引き上げることを好むと説明した。