3Dが発動差し止め請求、東邦HDの買収防衛策 問われる「物言う株主」対策

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REUTERS

[東京 13日 ロイター] - シンガポールが拠点の投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズは13日、医薬品卸売の東邦ホールディングスによる買収防衛策の発動を差し止める仮処分を東京地裁に申し立てた。経営支配権を巡る争いがなくても発動が認められるのかが争点。アクティビスト(物言う株主)の活動が日本で活発化する中、企業側が相次ぎ導入する「有事型買収防衛策」の是非が問われることになる。

3Dは議決権ベースで東邦HD株を約24%保有する筆頭株主で、保有比率を27%まで引き上げる方針を示している。これに対し東邦HDは、3Dが追加取得した場合、新株予約権の無償割当てによって持ち株比率を希薄化できる買収防衛策を導入。発動に必要な議案は6月の株主総会で54.7%の賛成を得て承認された。

3Dは声明で、会社側が主張する「実質的な拒否権」を獲得する水準には達しない上、支配権取得の意思も否定していると説明。防衛策発動の前提となる経営支配権争いは存在しないと主張している。さらに、過去の判例では株主総会での承認が防衛策の合理性を支える要素とされているものの、それも支配権争いが存在することが前提であり、本件には当てはまらないと指摘。今回の防衛策は、ガバナンス改善を求める株主の影響力を抑えるための経営陣の保身目的の疑いが強いとしている。

一方、東邦HDは6月の株主総会前に、27%の保有であっても圧倒的な筆頭株主として経営に強い影響力を行使でき、短期利益を優先する施策を会社に強いる恐れがあると説明していた。

日本では、敵対的買収者が現れる前から導入しておく「事前警告型」が主流だった。しかし、経営陣の保身につながるとして機関投資家からの賛同を得にくくなり、廃止する企業が続出。株主対応コンサルティング大手のアイ・アールジャパンによると、導入企業はピークだった2008年の567社から6割減少した。

代わって増えたのが、特定の買収者を標的とした「有事導入型」だ。東芝機械(現・芝浦機械)が2020年、旧村上系ファンドによる買収への対抗策として導入したことを契機に広がり、昨年は過去最多の10件に達した。アクティビストが2割前後を保有した段階で、追加の株式取得を制限する目的で導入するケースが多く、あすか製薬ホールディングスと文化シヤッターは米ダルトン・インベストメンツへの対抗策として採用した。

経済産業省の買収指針は、買収提案を株主が判断するための時間や情報を確保したり、より有利な条件を引き出したりする目的での防衛策を認めている。一方、経営支配権の取得を意図しない株主にまで防衛策を適用することは、経営改革を求める正当な株主権行使を封じ、経営陣の保身につながるとの指摘もある。

買収防衛策に詳しく、3D側の意見書を作成した名古屋大学大学院の松中学教授は、「支配権を握る意図のない大株主の登場まで有事型買収防衛策で排除できるとなれば、資本市場から経営陣への規律付け圧力が弱まる可能性がある」と語る。その上で「経営陣は、自らの経営方針が正しいと考えるのであれば、防衛策への支持を取り付けることに注力するのではなく、その方針の妥当性を株主に説明することにリソースを割くべきだ」と話す。